第2話

 ベッドの上でうつぶせになり、ノートブックを広げてこれを書いていたら、ジロがやってきて、両足のひざの裏にまたがるように座って落ち着いている。 恐らくもう寝ちゃっているだろう。


 ジロはすごくいびきを掻くんだけど、それより驚いたのは、寝言いうんだよな。


 こないだ寝言で歌っていたのにはさらに驚いた。


 ボーイソプラノで、なんだか21世紀のメロディみたいな曲を歌っていた。


 ジロはもうすでに雄ではなくなっているが、そのせいで声変わりしていないのかもね。


「ニャ、ニャ、ニャ、ニャーン。」


「ニャ、ニャ、ニャ、ニャーン。」


「ニャニャニャ、ニャニャニャニャ ニャニャニャニャ


ニャニャニャニャ  ニャニャニャニャ


 ニャ、


 ニャ、


 ニャー。」


…。


「ニャ、ニャ、ニャ、ニャーン。」


なんだよそれ? もう起きてんだろ?


「 運命 ニャ。」


あっそ。


「ルードヴィッヒ・ヴぁン・ベートーヴェンだニャ。」


・・ふーん、好きなんだ、ベートーベン。


「嫌いではないニャ。」


そういうものの言い方やめろってば。


「ほんとは、ワーグナーとかロマンチックなのが好きニャ。」


へえ?クラッシック詳しいの?


「そんじょそこらの犬といっしょにするニャ。」


・・いや、べつにいっしょにしてないけど、気に障ったらごめん。あやまるよ。


「なめんなよ。」


くだらないぞ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る