ドラキュラさんのリクルート 

アリエッティ

第1話 ドラキュラさんの陣地はもう無い

「いらっしゃいませー..。」

久しぶりだな、何

性懲りも無くまた来たのかって?

仕方ないだろ、お前達のスパンなど知るか。私は普通の速度で生きているのだ、文句言うな!


「ちょっとお兄さん!

これまた違ってるよ、何度言ったら分かるの!」

「あっ、すいません..。」

「すいませんじゃないよわかってる?

私はパールロボ!

それはハイルドシックス!!」

「こちらですね..」「まったくっ!」

随分ヒステリーだな。

老婆がタバコなんて吸うな、一度に何度も買いにきおって、水を飲む感覚のニコチン不足か?

「ドラッグストアとは真逆の品だな」

私が今いるのは薬屋では無い、近くのコンビニ店だ。


「しかも昼勤、何を考えている..?」

店舗がまさかの改装工事を始めてな、その間は自由だとおもったのだが狐のヤブ医者が職を入れてきおった。

「白々しい事を言っていたな」

貴方には色々な経験をして貰いたいとか何とか、それがこれか。

「以前と然程変わらんぞ..!」

それもタチが酷く悪い

奴は数日単位で様々な業種を選んで私にあてがって来た。ここは今日一日、明日からまた別の職場だ。

「あの男、遂に私で遊び始めたか..」


「お兄さんちょっと!

パールボロ一個足んない、二個!!」

またか、なんだキサマ。

個数まで言って無かっただろ?

あと銘柄でいうな、番号で言え。

「申し訳御座いません..」

「ホントだよっ!」

調子ずくな高齢者、歳を取っただけで威厳は無いぞ恥を知れ。

「ザビエルめ、元はと言えばお前のせいだ..」

お前がこの国にタバコを持ってきたからこうなるのだ。

そしてサキュバスよ、貴様が男に釣られて店をデカくするからこんな理不尽を強いられるのだ。

「そしてあの化け狐..!」

どこかに味方はいないのか!

私の周りは敵ばかりではないか!

「有難う御座いましたはそんなに軽い言葉なのか?」

嫌な奴に向けて言う言葉では無いのだ


「ちょっとちょっとお兄さん!」

な〜んだっ!

「またか、なんだ今度は」

「これメンソール入ってる奴じゃない私のは普通の、味の濃い奴!!」

「……。」

次から次へと面倒だ

情報不足なんがお前は常に、言ったらやるだろ、店員ってそうだろ?

「......」「なんだい?」

「………。」「謝罪も無しかい!」

「はぁ..」「なんだよっ!」

もう知らん、どうせ今日のみだしな。


「老婆よ、ニコチン不足は解る。

それ程までにイライラしているのだからな。何故そこまで文句を云う?」

「なっ..なんだいその態度は!

私は客だよ、アンタにとっての神様なんだ、口に気をつけなよ!」

これが神か..くだらぬ世界だな。

「どうでもいいが何の用だ?

他にも店員はいる筈だ、何故ここばかりににくるのだ。」

「間違えたのはアンタだよ!

アンタに頼むのが筋ってもんだ!!」

ダメだ、ラチが開かん。


「なら一度に全て言うがいい

それとも何だ、それ程私に会いたいのか。私が、そんなに好きか?」

どうだ、普段これほどまでに主張する事は決して無いぞ、貴重な体験だな。


「なっ、好きって..そんなんじゃ...何言ってんだよあんた..!」

「え?」

..ちょっと待て、何だそれは?

何故、顔を赤らめている⁉︎

「えちょっ..え、お客様...!」

「..なに?」「え?」

何このよそよそしさ、何だこの浮ついた感じ。

「お客様、あのっ..」

「まだそう呼ぶのね。

〝お客様〟なんて、他人みたいに...」

だって客だもん、他人だもんねお前!


「やっぱりメンソールでいいわ」

「はい?」

「なんかその..すっきりしたいから」

「あ、そうですか。」

何だそれは、お前のすい臓だけは絶対にいらん。

「いや、煙草を吸うなら腎臓か?」

...どっちでもいいわ!

「じゃねっ!」「………」

本当に帰ったんだろうな、何か含みを感じるぞ。当然の如く二度と会いたくは無いのだがああいうのに限って尻尾が長い、直ぐに会うのではないか?

「化け物に勝る人間だな。」

そんなお前に再度の接触を忌み嫌い拒みつつも無事に帰ってくれたという事で心からこの言葉を送ろう。


「有難うございましたぁ..」

それにしても何が愉しくてこれを生業にしている者がいる?

上司とやらに聞いたが夜は酔っ払いが参るというではないか。

「錯乱した人間など鬼と同じ..」

横暴という金棒を振り回し周囲を打ち壊す。気くらい保て無機質生物!

「安い酒より己に酔うか。」

そいつの血を吸えば私も酔えるのか?

「アルコール度数はいくつだろう」

場合によっては鉄分を上回る事があるかもしれん。

「吸わないがな、別に」

いつもならここいらでカッパが出てきて茶を濁すが今回は無いようだな。

「マンネリは怖いな..」

飽きによって姿を消したわ、ふはは!


「残念だったなカッパよ」「はい?」

「え?」「呼びましたよね。」

何を言っているこの男、眼鏡で痩せ形特に河童感は無いが...

「あっ!」「こんちは、河童です。」

名前が河童かっぱか!

..ふざけるなよ。

「くだらな過ぎるぞ」

無いなら無いでいいだろうが!

「..終わりが良かった事が無いな。」



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