太陽の石の使い方
クロウ・クーン・ジュノーは風呂屋から戻ってくると、さっそく薬草屋のドアを開けた。するとノヴァがいきなり聞いた。
「クロウ、ニコル・クーン・ジュノーとは誰だ?」
「ニコル? 知らんが......いきなりどうしたのだ」
ジュノーを名乗る以上はジュノー王家の末裔なのだろうか。そして、クーン家といえばジュノー王家の中でも一番格式の高い家柄であったはずだ。
しかし、ノヴァが見たものは子猫であったが。
「いや......わたしは何か夢でも見たのだろうか......それに、あの少女は......」
タカキは〔タイムマシーン〕を覗き込むと言った。
「お姉さんが行ったのは、たぶんここから二百年先くらいの未来ですね」
「未来?」
「はい。未来です。これは時間跳躍をするための機械ですので......」
ではニコルというのは、クロウの子孫であろうか? いや......猫だったのだけれど......、あの少女は? ノヴァは考えを巡らせた。あの少女は......私にそっくりだった......
「ところでなんですが、僕ら本当は人間なんです!」
「む? いや、蛇だろ。蛇にしかみえんぞ」
「人間なんです! 信じてください。」
そして、タカキは泣きながら人間に戻りたいと切々とうったえた......
「あ、兄ちゃん! あの時、オレンジ色に光る石がコロコロ転がってきたのが見えたような気がするんだけど......もしかしてあの石のせいじゃないかな?」
「そういや、雷が直撃したのはあの石だったな!」
「オレンジ色の石なら俺、持ってるよ」
クロウは自分の持っている ' 太陽の石 ' をポケットから取り出して見せた。だけど、俺、この石の使い方知らないんだ......ジュノー王家の末裔、クロウはそう呟いた。
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