その夜の会話

 紅スライムは料理が出来上がると皆にふるまった。彼女の作る野菜とチーズのスープは絶品であった。

 意外にもと言ったら彼女に失礼であったろうが、料理は美味しく、特にサツマイモことユリウスの胃袋は鷲掴みにされた。


 さて、時間は過ぎ夜になった。夜になるとカボチャ頭達がストーンサークルに集まってくる。


「ィィィィィィィィィィィィィィィィィ」という彼らの奇妙な声が聞こえてきた。


 妖女は自室でさっさと寝てしまったが、〈幼女〉朝顔は「ああ、もううるさくて眠れないぞ」と言った。

 ドメスティック・フラワーズまでもが真似して「ィィィィィィィィィィィィィィィィィ」と言っているのである。


「うるさいぞ!」〈幼女〉朝顔は窓を開けるとドメスティック・フラワーズに怒った。


「まあ可愛い幼女さん、ごめんなさいね。私達も毎晩あの奇声を聞いていまして、最初はうるさくてたまらなかったのですが、もう最近は開き直って一緒に奇声を発することにしたのですよ」


「そうか。それは大変だったな、たしかに開き直るしかないかもな......」

「うるさいので、カボチャ頭達をみな薙ぎ払っても良いのですが......」

「攻撃には許可が必要だろう?」


「ええ、もちろん必要なのですが、許可なしで攻撃しちゃうときもあったりするわ」とドメスティック・フラワーズの一輪は答えた。


「ドメスティック・フラワーズは自由でいいな」と〈幼女〉朝顔は言った。

「ところで、あの妖女という女は何者なんだ?」

「さあ、私達も知りません」ドメスティック・フラワーズはしらを切ったのである。


「それより、あなたのような後方支援要員がこのような危険な場所へ来て大丈夫?」

「ここは危険なのか?」

「ええ、危険ですわ。今日の昼間も"醜いモノ"が空を覆いましたから......」


 ところで、カボチャ頭達はなぜストーンサークルに集まってきているのか? 彼らがここへ来ているのは ' 悪しき者 ' の表出とは無関係であった。彼らはこの土地の土着の神へ祈りを捧げに来ているのである。


 眠れないと言っていた朝顔もいつの間にか寝てしまった。実際のところ、朝顔はその性質上、朝には強いが夜には弱いのである。皆が寝静まるとカモノハシはサツマイモに言った。


「サツマイモ、あの時俺は見たんだ。お前の過去、お前の未来を......」

「俺の過去と未来......?」

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