幼女と妖女

〈ネコのトラック〉ネコトラは戻ってきて、サツマイモに"にゃお"と言って頭を下げた。一応、謝罪の意をあらわしにきたようである。


しかし、謝罪をするとすぐ向き直り、また道を爆走して行ってしまった。何か急ぎの用があったようである。



この交通事故の一部始終を見ていた者が2人いた。


(厳密にはもう1つ、その一部始終を見ていたモノがいたが、そのモノは ' 言語では表現できない者 ' であった。仮に無理に言葉にするなら、' 巨大な生命的存在の最終的な形態となった者 ' という言い方しかできない。そのモノについては、ここで語るのはやめておこう。)



1人は、ドゴリコ王国騎士団・騎士団長であった。彼はたまたま通りがかっただけであるのだが......。


死んだスライムが生き返って人間になったのだが、そのことには特に関心を持たなかったようである。


ただ、サツマイモことユリウス・スラ・ゴドリノについて、身を挺して朝顔を救ったことについて、勇敢な少年であるという感想を持ったようである。


その体躯の良い壮年の男もまた、ネコトラと同様、その時は急ぎの用があったため自身の目的の場所へと向かって去って行った。



もう1人は、真昼のドゴリコ王国王都の大通りを真紅のドレスを着て、赤、青、紫、緑、色とりどりの大きな宝石をふんだんにあしらった首飾りをつけて歩いていた中年の女であった。


その女は、ユーフル地方のダンスを踊りながら、朝顔達の前に躍り出たため、


「何やつだ、妖しい女め!」〈幼女〉朝顔は警戒した。


確かに、ダンスを踊りながら登場する人間はかなり怪しいであろうから、朝顔の言い分は正しいものであったろう。


妖しい女は、


「こんなセクシーなアクシデントに出くわして、踊らずにはいられませんでしょう?!」と言った。


「セクシーなアクシデント? 何を言っているのだ、お前は! さてはお前は、さてはお前は......。」


さてはお前は......、


「さてはお前は、妖女だな!」


「そうよ、私は妖女よ!」


朝顔の言う通り、妖女であっているようだ。


こうして、幼女と妖女は出会うことになったのである。




◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇


(注:ダジャレではありません。)

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