折り紙のいのち
HaやCa
第1話
寂しい夜になった。だれかがドアを叩いている。でも、わたしはここを離れない。
君を置いて、知らない誰かの元へはどうにも行きたくなかった。
わがままかもしれないね、わがままでもいいよね。
涙を拭いて、そおっと立ち上がる。君はまだやさしい寝顔でさ、ちょっとおかしかった。
普段なら、君の鼻の頭をついて意地悪でもするんだけど、いまは気分になれない。
いままでの記憶が、一息にかけめぐる。
この感覚は愛しいほどおかしい。
もう、出会えないのかもしれないと気づくと、切ない気持ちが真っ黒に塗りつぶされた。
私は最後に折り紙を折った。
何の変哲もない、鶴の折り紙。それしか知らなかった。
別れが近づくのを感じ、また目頭が熱くなる。
心臓の早鐘が一段と強くなる。
また会えるといいな。
ドアの向こうに消える私、あなたはそれでも深く眠りこけていた。
折り紙のいのち HaやCa @aiueoaiueo0098
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