in your smile

宮乃森 戒音

第1話








本当はね…君が過去に何をしてきたか知ってたんだ…




ただ…君から直接 聞くのが怖かった













君が大切な存在になればなるほど













ーin your smile 1ー











家に帰る途中 聞こえてきたセリフに耳を疑った





「ねぇーお兄さん♪今日1日 私の事 買わない?」










相手は もちろん俺じゃない


未だに こんな事してる子もいるんだ…くらいにしか思ってなかった













君の顔を見るまでは…………





今にも泣き出しそうな顔して無理に笑顔作ってたのを覚えてる


そんな作り笑顔を見てると過去の自分と重なって思わず声をかけた





『ねぇ………さっきから こんな所で何してるの?』









「………………………」





もちろん答えなんて返ってこないことも知ってた





『………拾ってあげようか?』



この子の本当の笑顔が見てみたい




『…すぐ近くだから ついて来て!!』




ただ それだけ…












何も知らない俺に素直について来た、素直な可愛い女の子




そして名前も知らない…知られたくない君にミミと名付けた







『う~ん…じゃー君は…今日からミミにしよう♪ねっ!!ミミちゃん♪』








前に飼ってた犬の名前


警戒心が強いけど慣れると愛嬌たっぷりで可愛かったから








この子にも そうなってほしくて…










最初は不満そうに見えていたけど俺が名前をって呼ぶ度に違和感も消えてきたのだろう

不満そうな顔も見なくなった。









一緒に過ごしてるうちに だんだん打ち解けて、慣れてきてくれてると思ってた



なのに…………


ミミちゃんに また悲しい顔をさせてしまったのは紛れもない……俺なんだ





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