現代
黒猫
第1話 俺
「悲しいなぁ…」
血だらけになった顔からは涙が垂れて来ていた。
榊翔は日本の3代財閥の長男であった。
財閥の長男たる者自分の身は自分で守れるようになれと武道を叩き込まれた。
武道を学んだからにはむやみやたらに人と闘ってはいけないと教えられた。
俺はイジメの現場を発見し、加害者を殴った。
結果から言えば勘当されたそれが小6の秋であった。
俺には何故勘当されたのか分からなかった。
弱者を助けるのは行けないのか?
師匠は、自分の信じる道を行けと教えてくれた。
そこから俺は喧嘩ばかりの毎日で榊家は弟が継ぐことになった。
弟は気が弱く小さい頃は俺の後ろを常についてきているくらいだった。
今でも弟だけは俺への態度を変えずに接している。
「兄さんさ、もう少し控えなよ…」
湿布を貼りながら弟が愚痴ってくる
「いや、助けを求められたら行くしかないだろ…」
これまで多くの人を見てきたが皆目には諦めが見えていた。
その先に待っているのは多くが自殺だ。
「兄さんのそこが良いところなんだけど、自分の心配も少しはしないと…」
「大丈夫だ、あの家はお前に向いているからな…俺が何をしていようが関係ないんだよ」
そんな事はないと弟は言いかけたが史実なので途中でとまった。
今日から高校生生活が始まる。
死ぬ気で頑張りそこそこの偏差値の学校に入学する事が出来た。
初日から遅刻をしないように早めに自宅を出発したのだが同じ制服を着た女子高生が男に絡まれているのが見えた。
「やめてください」
「良いでしょ〜。俺と遊ぼうよ」
いかにもFランですと言うような男が話しかけていた。
「嫌がってるみたいですし手を話しましょうよ、今日始業式なんで遅れるわけにも行かないですし」
近くに行って男の手を掴み上げた
「あ?イキんなよボウズ俺空手やってんだ痛い目に遭いたくなかったらうせろよ」
周りの大人達も気が付いてはいるが誰も止めに来ない。
コイツらはいつだってそうだ…
そうして後から言い訳をベラベラと話す
「イキリってのは出来ないことを言うんですって、でももし俺があんたを倒せたらイキリじゃないですね?」
相手から手を出させ正当防衛とする為会えて煽りの敬語を使う。
相手は思惑通り腹にパンチをかましてきた。
「うっ…これで正当防衛になりますね」
周囲には野次馬がたくさんおり証言者としては十分だ
そこからは殴る蹴るの一方的な喧嘩が行われた。
ある程度の所で警察が到着し事情を説明する為警察署に向かった。
「それでどう言う経緯でああなった?」
警察官の方が聞いてくるので見たままの状況を話した。
向こうが最初に殴ってきたこと。
ついカッとなってやり過ぎてしまったと、言うことを伝えた。
周りにいた数人に話を聞いたらしく俺は直ぐに解放され学校には連絡しておくと言われた。
「ありがとうございました」
助けた女子高生が頭を下げてくる。
「気にしないで下さい。ただ自分が勝手にやった事なんで」
「それより時間大丈夫っすか?」
後10分で始業式が始まろうとしていた。
間に合わない…新入生代表挨拶どうしよう…
と嘆いていたので警察官の方に無理を言って近くまで送ってもらえる事になった。
「君みたいな勇敢な少年は少なくなったからな…これも時代のせいなのかねぇ…」
おじさん警察が何処か悲しむようにつぶやいていた。
「人を助けたのに辛い思いをするっておかしいよな。なあ少年?」
「そうですね…でも時代はそうなってしまったので諦めるしかないんでしょうね…」
多くを諦めて大人になる…
誰かが言っていた
「ほら着いたぞ」
「ありがとうございました」
2人でお辞儀をし彼女は校内へと走って行った。
「何かあったら連絡しな」
そう言って電話番号を渡してきた。
少年の生き方は昔憧れた通りだから力になりたくなったと言って走っていった。
「これから校長室かな…」
初日から面倒な事になったが、人の優しさに触れられた
現代 黒猫 @Yazakai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。現代の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます