世界樹と生きる
池田瑛
第1話 プロローグ
私は、服の好みで言うと、「森ガール」が好きだ。ゴシックでも、ロリータでもなく、森ガールが好きだ。
中学生の頃から大好きで私が好んで着る服は、森ガール系だった。お気に入りは、澁谷の109の森ガール専門店!
でも、
私は、20歳を過ぎ、四捨五入したら30歳になった。そして、彼氏とのデートでディナーを食べているときに喧嘩をしてしまった。
「なんか子どもっぽい格好だよね」
彼氏の発言で、私は激怒! カッとなって、前菜のカルパッチョを食べている途中で離席。
イタリア料理店の近くの公園のベンチに座り、彼氏から連絡があるか待っていたけど、連絡なし! もしかして、注文したピザとかパスタを一人で食べているのではないだろうか……。
『美味しい料理と私、どっちが大事なのよ!!!!』
って、電話やメールが来ない時点でその答えは見えているか……。
私は、「四種類のチーズピッツァ」に負けたのか……。それとも、「カルボナーラ」に負けたのか……。
って、なんか口惜しいーーーー。
私が座っていたベンチの前に転がっていた空き缶。思いっきり蹴ってみたら、放物線を空中で描き、ブランコでブランブランしていた白髪のお爺さんの脳天を直撃……。
「ご、ごめんなさい!」と私は謝罪。
「痛いのぉ……」
「悪気はなかったんです。ちょっとイライラしていて……。本当に申し訳ありませんでした!」
「どうしてそんなに怒ってるんじゃ? 子どもの格好をしているようだが、もう良い大人じゃろ?」
カチン……。私はカチンときた。下手に出たらいい気になって! あなたこそ、お爺ちゃんらしくブランコに乗ってないでゲートボールでもしなさいよ!
「どうせ私の歳では、可愛い系の服なんて似合いませんよ! 人間、ずっと18歳じゃいられないですよね!」
「そうか……。年齢を重ねるということの意味が分からぬか……。それなら、100年くらい18歳してみるか?」
「はい? いや、100年18歳したら、118歳ですよね?」
「細かいことを考えても詮無きことじゃ。ものは試しというものじゃろ?」
「え? じゃあ、それができるなら……お願いします……」
「よかった、よかった。やっと見つけた、遺伝子適合者だ。承諾が得られてよかった、よかった」
「え? なんです?」
『イセカイテンセイ』!!!」
次の瞬間……私の視界は暗転した。
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