第92話 支配と中年

 二層のスライムを倒していると、普通のスライムもチラホラ、


「お、やっぱ倒していけば、汚染モンスターはいなくなるか!」


「だね! この調子で行くぞー!」


「「「『ういー」」」』


 三層に到着。


 ハイゴブリン(汚染)ランクDのレベル65。

 やはり低階層は弱い汚染モンスター。


 ドロップも変わらないのでおいしくはないが、出来るだけ倒して進む。


 四層、

 コボルト(汚染)ランクDのレベル80。


 少し素早く、どのモンスターもだが、表面が硬くなっている。

 リズムも頑張っているので、できれば十層まで行きたい。


 五層、

 中ボスだな。


「オーガかぁ、ナキ?」


『あぁ、別に問題ないぞ?」

 首を回しながら前に出るので、


「似てるね」


『おい! こんな知能もなさそうな、白目だけのオーガに俺が似てるわけねーだろ!』

 お、怒ってらっしゃる。


「似てるよね」

「うん、似てるよね」

 賢人とノセも乗ってきた。


『ウガー! ふざけんな!』


「「「キャーー!」」」


「ちょっと! 真面目にやって!」

 リズムが怒ってらっしゃる。


「リズムも似てるよね」

「そうね」

 ノセは頷く。


「あんたらー!」


「「「キャーー!」」」

 

“ゴゴン”

 「あれ?」

 オーガが倒れてらっしゃる。


『お前ら遊び過ぎだ。さっさと行くぞ』

 ナキが倒したのか。


「んじゃ、ちょっと休憩! ずんだ餅召喚!」


『お、久しぶり!』

 と、座って休憩。


「ねぇ、いつもこんな感じ?」

 リズムが聞いてくる、


「それなりに休憩はとるよ。リズムも今の内に足解しとけ、四層でヨタってたぞ?」

 ヒールをかけてやる。


「……よく見てるのね」


「まぁ戦闘を任せてるからな。なんかあったらすぐに報告! 置いてく奴なんてここにはいないからな」

 無理させて倒れられたら、アジャティに言い訳できないし。


「そ、ありがとう」




 中国ダンジョン 六層。


 真っ暗だ、なんでだ? まぁいいか。


「「「ライト」」」


「「「え!」」」


 真っ暗の中で三つの光の塊が、



「「「「『ぎゃあぁぁあ! 目がぁあぁぁぁ!』」」」」




「エリアヒール!」


 ぐぁ……目が痛かった、ようやく見えてくると、



「おぉ! 蝙蝠かよ!」


 壁に蝙蝠がへばり付いていた。見える範囲はさっきのライトで倒れている。



「やる前に念話するようにしよう」

「だな」


 蝙蝠はビックバット(汚染)、これでもランクD、レベル80だ。暗闇特効らしいから、ライトが効いたんだな。



『ひでぇ目にあったわ』


 目を擦るナキ、他のみんなも回復したらしい。




 ビックバットを倒し、次の階層へ。



 七層、



「おっと、早くもランクCだ」


 解析、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

キルラビット(ポリューション)ランクC

レベル15

 キルラビットの変異進化体。動きが素早く、耳や足で攻撃してくる。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・



「キルラビット、ランクC、レベルは低いが素早いから注意な?」

 


「はいよ! っと、ドロップの毛皮ってどうする?」


 ドロップが毛皮か。



ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

キルラビットの毛皮

 キルラビットの変異した毛皮。加工には不向き。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・



「勿体ないけど、変異してるからな。触らないように置いといてくれ。俺が処理する」


 空間魔法で異次元に入れて置く。


「そっか、なら本当に魔石だけだね」


「そうなるな。まぁ、ドロップ狙いじゃないからな」



 触っても問題ないのかも知れないが、まぁ触らない方がいいだろ。




 八層、


「スケルトンね」


 カタカタと骨を鳴らして歩いているが、


「ッフ! ……なんで人間の骨なんかな?」


 賢人が斬り倒すと、素朴な疑問。


「ハッ! ッと、なんでかな? お決まりだから?」


 ノセもハンマーで打ち倒し、応える。



『そんなもん、今この世界を支配してるのが人間だからだろ?』


 ……支配。


「えー? 支配は言い過ぎでしょ? それになんで人間の骨なのかは?」

 

『だから、猫なら? 犬なら? 言い方は?』


 ……そうだな。



「え? 猫のス、スケルトン。……え?」


「人間が軸になってるか。……まぁ、スケルトンは骨格だが、わざわざヒューマンスケルトンなんて言い方はしないな」


 支配。……か、人間の責任。



「あぁ、そう言うことね。でもわざわざ人間基準でモンスター作らなくてもねぇ」



 人間基準……ふぅ、考えたくないな。



「まぁ、お勉強はそこまでにしてさっさと行くぞ」


 今は先に進もう。




 九層、


 出て来るハイコボルトを倒しながら進む。


「進化版コボルトって中々素早いね」


 賢人は余裕そうだが、


「そ! んな! 余裕ないわよ!」


 リズムはここで精一杯だな。



「とりあえずあと一層、今日は転移陣で帰るぞ」

 


「「「『うい」」」』




 日数的にそこまで余裕はないからな。

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