第45話 宮城ダンジョンと中年


 リンリンside


『僕のターン! イェーイ! 勝ったぁ!』

 とPCの前でスマホを持ちながら、椅子でクルクル回るリンリン。


『グヘッ! なーにすんのチリ君?』


『お前の持ってるソレはなんだ? 今さら隠すな』

 リンリンはデスクの方を向くと、


『スマホだよ』


『お前なんか隠してるな、口数が少な過ぎる』


『べ、べつにいつも通りの可愛いリンリンちゃんだし! てか仕事の邪魔しちゃダメですよーだ!』


『遊んでるようにしか見えないし、最近アイツの事言わなくなったな』


『今は仕事モードなだけだし! 壱番君は関係ないし!』


 腕を組み、睨みつけるチリツカ

『お前の今の仕事はなんだ?』


『地球にいる馬鹿の支援物資のリストアップ』


『出来てるのか?』


『も、もう少し時間がかかるかな? テヘッ!』


 チリツカの額に青筋が浮かぶ

『テヘッじゃない! 物資調達係が催促してきたぞ! そんな時間掛かるもんでもないだろうが!』


『怒るなよー、あんな馬鹿待たせとけばいいじゃん!』


 リンリンの頭を掴み左右に振りながら、

『馬鹿はどうでもいいが仕事はちゃんとしろ! 創造神様達の決定事項だ!』


『ゔぁぁぁぁぁあぁぁ……わ、わ、わかった、やるから! やるから!』


 チリツカは手を離し、

『分かったなら今すぐやれ! スマホとやらはぼっ『ダメ! 絶対ダメ! やだ! 無理! そしたら仕事しない!』分かった、またくるからちゃんとやれよ?』


『はーい…………』

 チリツカは諦めて帰って行く。


『あ〜あ、やっと暁将軍倒したと思ったら、仕事の催促とかほんと萎えるなぁ……まぁ仕事しよ!』

 リンリンは渋々PCに向かい仕事を進める。


『あの馬鹿に甘いんだよ! なんだよこの物資の量は! 壱番君はギルドなんかそんな利用してないっつーの!』



 カズトside


 今、悩んでいるのは何処に行くか。


 北海道、宮城、東京とダンジョンがあるが1番進んでいるのが東京、やはり人口の多さと利便性からなのか? 

 北海道もそこそこ、いま13層までクリアしているらしい(少し間を置きたい)

 宮城はこの前の騒動で発覚したが、あの会社が裏で買取をしていたらしく、冒険者が減っているようだ。


「とゆーわけで第2回誰が行くのかジャンケンたいか〜い!」

 異次元ハウスの広場でダベっている。


「北海道は?」


「うーん、なんか勘付かれそうだから一旦中止」


「んじゃノセで良くない?」


「無職だし」


「ちょまてよ!…………てか兄さんも無職だし、お前らも休業中だろ!」


「おお! 似てないモノマネを無視して会話を繋げたぞ」


「ジャニとかどの顔で……俺なら恥ずかしくて無理!」


「モッチーさんまでやめて! 僕が悪かったから! ジャンケンしましょうよ」


 ノセは赤くなりながらもなんとか持ちこたえたらしい。


 そして結果、ノセ。


「グー出したのにぃ!」


「ノセ、弱すぎ」


「み、宮城なら、あと1人くらい大丈夫じゃないですかね?」


「「「「いってらっしゃい」」」」


「……鬼!」




 扉を開けるとそこは、


「メンソォォォォレェェェ! みやギガギィアァァァ!!」


 案の定、テンションウザめで絡んでくるノセ。


 分かっていたので、賢人のアイアンクローが炸裂! しかもボブが腕を固めているので抵抗出来ない!


 ここでモッチーストップ! ノセ選手、泡を吹いている為、ヒールがかけられます。


「死ぬかと思った、やり過ぎ注意だぞ! プンプン!」


「仙台って政宗なんだね」


「だな、フィギュアとか売ってたらアンコとかにお土産で買ってこーぜ」


「あー、ハマってたね、戦国バチェラー」


「また無視ですか、慣れました、はい」


 と、とりあえずギルドへ。

 入るとなかなか閑散としている。


「すいません、宮城ダンジョンの現在の到達階層を教えてください」


 カウンターの女の子はビックリした後、涙目で、


「新しい冒険者さんですね、ありがとうございます、現在は13層になります」


「だいぶ閑散としてますね?」


「そうなんですよ、自衛隊か古参のパーティーの人達しかいなくなって、これからよろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いしますね」

 と言い外に出て、


「あの会社が全部悪いな……」


「だね、さっさと潜ろうか」

 モッチーは遊び心が無いな。


「あ、仙台だとずんだ餅有名らしいですよ、あと牛タン」

 さすがノセ!


「ノセタンは調べたん?」

 賢人、ノセタンはないわ。


「ノセタン美味しいよー! ……1人で暇でしたからね……」


「んじゃ食ってから行こっか」

 と踵を返して茶屋に向かうのであった。


 ずんだ餅が意外に美味しく、今から動くのにたらふく食べてしまった。


 現在11時、政宗像を見物してから、またギルドの方へ戻り、ダンジョンに潜っていく。


 一層は森でした。


 つか絶妙な獣道が通路?

「っと! 最近犬系多いな」


 出てきたフォレストウルフを、蹴りながら賢人が吠える 。


「群れ過ぎでしょっと!」


 ボブが上に飛びウルフを攻撃すると、


「油断大敵!」

 とモッチーが、ボブ目掛けて飛んできたフォレストモンキーを、ウォーターアローで撃ち落とす。


「連携とってるね、まーがんばれ」


 俺は後ろまで来た奴だけ倒している。

 マップで見る限り、30匹以上が集まって来てる。どんだけ一層放置してんだよ。


「ハァ、ハァ、お、多すぎでしょ」


「いくら、ハァ弱くても」


 と、モッチーもボブもバテバテ。ここでまたマップに反応が、


「第2陣が来たみたいだよ」


「嘘だろ! 連チャンはずんだ餅が出るって!」


 賢人も疲れたみたいだが、敵は待ってくれない。


「クソが! やったんぞ!」

 おぉ、モッチーが吼えた。




「うー……兄ちゃんヒールかけて」


 なんとか勝ったが、みんな引っ掻き傷だらけ。

「エリアヒール、っともっとレベル上げないとね?」


「成長もってる兄さんはいいっすよね……いまレベルいくつですか?」


「100は超えたかな、いま槍士だし」


「え? 魔法剣士の上は?」


「剣聖があったけど、なんかと組み合わせじゃないかな? で侍にしようかと思ったけど、せっかく最初から拳術あるから拳士にして、Lv20になったから今度は槍。基本を全部取ろうかなーと。一応、武器は倉庫に入ってるしな。ほれ」

 双刃槍を取り出して見せる。


「おぉ、カッコいい!」


「だろ? だから汚したくないから頑張ってね」


 ぶーたれる4人を促して、さきに進む。


 一層は、粗方間引いたから二層へ。


 ここも多い、フォレストスネークの群れとかどんな嫌がらせだよ! サブイボやばい!


 モッチーが、スプラッシュとサンダーで纏めて始末してたからすぐ終わったけど。この調子だと、十五層までこんな気がするよ。


 三層、オークの軍勢、鈍くてブヒブヒうるさい。


 どうするのか見ていると、我がパーティーのオーク(ノセ)が如意鎚を伸ばして足を引っ掛け。倒れたところを、3人が殴る姑息な手段に出ていた。


 四層、ウッドマンが擬態していたが、マップで丸分かりなので、賢人の指示で一方的なものだった。

 ウルフもいたが、問題なくサクサク倒していた。


 五層、ようやく初ボス、トレントだ。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

トレント ランクE

レベル 25

樹木に擬態して、近づく生物を絡めとり生気を吸う。枝を鞭のようにしならせ、攻撃してくる。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「トレントだ! 擬態するそうだから注意して!」


「擬態も何も、真ん中に鎮座してるし」


「ファイヤーピラー!」

 モッチーがトレントさんの活躍の場を……


「トレントォォォォ!」


「兄さん、暇だからって遊ばないで!」


「はーい!」


 とゆうわけでドロップ。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

トレントの枝 ×2

トレントの魔石

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 宝箱は、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

ミスリルインゴット

銀貨 5枚

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 以上、やはり五層。だがミスリル出たからありがたい。


 で今日は五層で終了。


 この調子でモンスター大量だと、正直スタミナが尽きる。

 俺以外が。

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