第46話 人手不足と中年


 ギルドに戻り買取と事情説明。


 奥だけに集中すると、低階層のモンスターが増えることを話した。


「そうなんですか? 氾濫の危険性は?」


「それは俺らじゃ分からないよ。ギルドの仕事だろ?」


「そうですよね、すいませんでした。あと、買取でしたね。こちらでお願いします」


 と女の子は、別の子にバトンタッチして、二階へ駆け上っていった。


「それでは買取させて頂きます。こちらの籠にお出し頂けますか?」


「とりあえず、今日の一から五層までのドロップで、要らないものを出していきますね。籠1つじゃ足りないから、予備を用意していて下さい」

 と言うと、他の子にお願いしていたので、一層から順に出していく。


 1つの籠に、フォレストウルフの魔石が86個と毛皮が51牙が35。こうみると牙がレアドロップなのか?


 てか女の子が唖然としている。


「これで一層分です、次二層分出しますね」

 と言ったところで、二階からオッサンと女の子が降りてきた。


「初めまして、ギルド宮城支部の支部長で横川といいます。貴重な情報をありがとうございます」

 丁寧に頭を下げてくる。


「冒険者? をやってる千社と言います。こちらこそよろしくお願いします」

 とこちらも返す。


 と籠に積まれた、ドロップを見て横川さんはビックリしている。

「これは今日一日分ですか?」


「はい、一層のフォレストウルフのドロップですね。最近入ってないんじゃないですか? 多くてビックリしましたよ」


「お恥ずかしい話、この前のニュースで冒険者が離れてしまい、古株と自衛隊は最前線に行くので。低階層に人が居なくて……」


「あぁやっぱり、もし外に溢れたらマズイですから、定期的に間引いた方がよろしいかと」

 横川さんは肩を落とし、少し間を置いて。


「やはり人間、深い階層の方が金になると、そちらの方ばかりに行きまして。

 こちらから依頼を出しても、受けてくれないんですよ」


 そう言うことか、それじゃしょうがないな。


「自衛隊の方は?」


「自衛隊の方も、ケガをする人が多く人手不足らしくて……」


 悪循環だな、これじゃその内ヤバそうだな。


「まぁ、少しの間ですが、こちらのダンジョンにいる予定なので、間引きはしますよ。

 でも打開策を考えないといけませんね」


 横川さんは顔を上げて、

「ありがとうございます! ギルマスにも打診はしていますので、こちらでもなにかいい案がないか会議します。

 よろしくお願いします」

 とお願いされてしまった。


 まぁこんなに多いのは今だけだろう。結局四層までのドロップだけで100万を超えた。

 低階層だから期待していなかったが、量がハンパないのでしょうがない。


 てかこんなドロップをどうするのか聞いてみると。


 魔石は燃料として国が買い取るらしい。毛皮や牙は、衣服や装備品に使用する為、鍛治士に下ろすそうだ。


「それでは、今日は買い取って貰いましたが、明日からの四層までのドロップは無料で提供します」


「え? なんで?」


「それを使って、装備を新人用に作って、新しい冒険者に配れば冒険者も増えるんじゃないですか?」


 横川さんは驚いて、

「それでは千社さんがタダ働きになってしまうではないですか!」


「俺らはパーティーですが、一から四層くらいならソロでいけます。

 あとのメンバーは下の層に向かいますが、それで十分元は取れますよ。

 それより、新人の勧誘と装備の手配はそっちがやって下さいね」


 横川さんは涙を流してお礼を言ってきて、

「任せて下さい! 寝る間も惜しんで頑張ります!」

 と言ってくれた。


 これで少しでも冒険者が増えれば、死ぬ人も減るだろう。


 勝手に話を進めてしまったが、


「ん、賛成! 自分を守れる人が増えるのはいいことだ」


「兄さんらしいですね」


「まぁ兄ちゃんだし?」


「僕ら強いですからね! チョチョイですよ!」

 と賛成してくれた。いい奴らだ。


「んじゃ今日は帰って、明日は俺が一層から、お前らは五層に降りて六層からな、追いついたら。どーしようか?」


「いや! 無理! 手伝うんだから罰とかなしで!」

 甘いな、賢人君。


「しかも六層からもまだ多いでしょ!」

 モッチーもか、


「だってノセがチョチョイって」


 ノセはボコボコにされて家路に着いた。


 翌日、


 さて、賢人達は先に五層に行ったからゆっくり行きますかね! 槍を振り回してフォレストウルフを狩っていく。


「昨日よりもやっぱ少ないか、間引きが効いてるな」

 と二層、三層と進んでいると賢人から念話が、


『おっつー、兄ちゃん、いま何層?』


『いま三、もうちょいしたら四に降りるよ』


『はやっ! 俺らまだ七層入ったばっか、てか数多すぎ』


『だろうね、十五まではその調子だろ』


『りょ、早く合流してねー』


 やっぱりか、まー心配だからさっさと合流するかね。

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