第30話 四人の思い


「兄ちゃん仕事辞めたって、前聞いた馬鹿上司のせいで!」


「シメにいくか? 俺は行けるぞ!」


「僕もいくよ! 兄さん仕事凄い頑張って社員にもなったのにあんまりだよ!」

 と俺、ボブ、ノセは念話で喋っている。



 兄ちゃんからのメールは簡単で『仕事辞めた! 俺は冒険者になる!』だった。


「どうせ兄ちゃんのことだからやったら怒られるぞ」


「お前はそれでいいのか?」


「いいわけないだろ! 親が亡くなってから兄ちゃん中卒で頑張ってきて・・でも」


「おぉ、賢人も大人になったね。カズトさんが決めたんだから、そのままでいいよ」


「「「モッチー(さん)?」」」


「カズトさんからメールがあったから、どーせ話してるんだろうと思ってね」


「師匠はいいんですか? 俺はその上司が許せないっす」


「それは皆んな一緒だよ。……俺もその上司は知ってるからね。でもカズトさんが決めた事。心の整理がついたからメールくれたんだろうし、そこはお疲れ様って言うのがいいと思うよ?」


「…………」


「そうだよ、兄さんの事だからその上司になんかやってきたのかもよ? ニュースでも兄さんの会社の事やってるし、なんか死者307人もいたらしいよ」


「ノセ、それで済んだの、たぶん兄さんがいたからだろ? それを辞めさせるとか頭逝ってるだろ!」


「俺しか聞いてないと思うけど、兄ちゃん辞表出したみたい。美羽さんから少し聞いたけど病気まだ完全に完治はしてない、ってか精神的なもんだから辞めて良かったって美羽さんが笑いながら言ってたよ……」


「そっか、俺らといる時は普通だから気付かないけど他人には営業の顔してるもんな」


「俺、明日兄ちゃんとこ行くわ。さっき電話あって休みになったし」


「あ、俺も兄さん系列の会社だし、部品入んないから連絡あるまで休みだって。一緒に行くわ」


「僕は分かんないけどたぶん休みだと思う、兄さんの会社から近いし、連絡くればいいけど」


「俺は休みだし行くつもりだよ」


「兄ちゃん落ち込んだ顔は見せないと思うけど、知らん振りして楽しんでもらうか!」


「僕、UNO持って行くよ」


「いまさらUNOはないだろ?兄さん病気になってから酒も飲んでないし、タバコも電子タバコだろ?何が喜ぶかな?」


「いまチートだからなんもいらないだろ」


「行ってからやりたい事聞いてそれやろうよ」


「だな、その上司はブン殴ってやりたいけど兄さん喜ばないしな」


「そうそう、みんなで楽しく遊ぶかねぇ」


「じゃあ明日はハウス集合な!」


「「「うい!」」」

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