第24話 ミッションコンプリートする中年

 五層に降りると、一本の長い通路の先に扉がある。


「中ボス? かボス? ここで終わり?」


 まー、家のダンジョンは四層までしか行ってないしな、ここで終わりならそれでよし!


「たのもー!」


 扉を開けると、4匹のオーガと一回り大っきなオーガ。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

ハイオーガ ランクD

レベル60

オーガの進化個体、皮膚は硬く頑丈で剛腕、持っている棍棒での攻撃は岩も粉砕する。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 後ろに階段っぽいの見えるし、中ボスかな?

 にしてもジャイアントスライムが強すぎて、これくらいならいけそうだな。


 とりあえず、

「シッ……ホッ……フンッ……ラストッ!」

 とスピードに任せてオーガを瞬殺する。


『ゴォアアアァァァァ!』

「あら、怒っちゃったかな?」


 ハイオーガが棍棒を振り回してくるが、遅い……


「よっ! とっ……あだっ!」


 振り回してきた棍棒に当たり、吹き飛ばされる。

「いったぁ……とにこの馬鹿力が」


 めり込んだ壁から出てきたら、目の前にハイオーガが、


『ガアッ!』

「フンッ!」


 振り下ろす棍棒を拳で受け止め粉砕する。


『ガッ!?』

「調子のんなボケッ!」


 鳩尾に右ストレートを思いっきりぶち込んで、頭が降りたところでアッパーを決める!


 天井に頭が刺さったままで、黒い煙に変わっていった。


「あー痛かった……頭から血が出てる、て止まって乾いてるか、クリーンじゃとれないわな……洗うか……」


 ウォーターボールを浮かしたままにし、頭を洗って、タオルを取り出し拭きながら、ドロップと宝箱を確認。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

ドロップ

ハイオーガの魔石

ハイオーガの角×2

巾着袋(銀貨30枚)


宝箱

鑑定のモノクル

ポーション×3

紫のハチマキ(魔力UP)

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 なんでオーガが金持ってんだ? てかハチマキ久しぶりだな……ノセだな。


 階段前に小部屋があり、魔法陣が描かれている。ゲームだと転移できるけど、どうだろ?


 とりあえず六層を確認するとオークだった。

 2、3体倒して五層に戻り、魔法陣に乗るとやっぱ転移陣らしく、一層に戻る事が出来た。



「まーそこまできつくは無かったけど、お父さん達には一層で頑張ってもらうかな……SPボールも結構あったから、そろそろ賢人もアイテムボックス取らせるかな」



 帰ると美羽に1人で行くなと怒られ、硬貨は全て没収された。



 2日後、


 やはり取らせる事になったが気が進まない。子供は大人が守るものだ……が、危険な時に近くにいなければ意味がない、という事で取らせる事になった。


「これがスライムだけど怖くない? 大丈夫?」


「ゲームで出てくる最弱キャラじゃないですか、大丈夫ですよ」

 おぉう、友君は今時の子なんだね。


「大丈夫、一太刀であの世に送ってあげる」

 うぅん、千風ちゃんはゲームのセリフかな?



「じゃあ、この真ん中にあるこれくらいの丸いのを壊せば倒せるから頑張ろうね!」

 指で輪を作り、説明する。


「「はい!」」


 あーよかった、いつもの子達だ。


 あんまり俺とは話してくれないけど、美羽と帰る時なんかは、寂しくて部屋から出て来ないような可愛い子達だ。



「まず友君ね、この剣見た目より軽いけど凄く切れるから注意してね」


 剣を渡すと嬉しそうに正面に構え、スライムに向かって、


「えいっ!」


 綺麗に刃が入り、スライムは消えていった。


「さすが! 綺麗に斬ったね」


「この剣が凄いんですよ。少し力入れたら、硬めのゼリー斬ったみたいな感触でした」


「分かる。少し抵抗があるけど、綺麗に斬れるとそんな感じだね」


 これで友君はステータス取れたな。


「千風ちゃん、大丈夫かな?」

 しゃがんで千風ちゃんと目を合わせて聞くと、


「はい!」

 元気な声で返事をしてくれる。


「じゃぁ剣はさっきと一緒ので、気をつけてね?」


 渡すと少し剣が大きいかな? 気をつけて見ておかねば。


 千風ちゃんの前に、スライムがフヨフヨと体を動かしている。


「えーいっ!」


 スライムに少し刺さって止まってしまった。


 剣を上げようと必死になっている、危ないので刃の部分を指で摘み上に上げる。


 スライムは攻撃してこようとしていたので、もう片方の手で掴んで止めて。


「まだいけるかな? きつかったらまた今度でも大丈夫だよ?」


「次は大丈夫、いけます!」

 あぁ家系なのかな?


「よし、じゃあもう一回気をつけてね」

 俺がスライムを離すと、


「えいっ!」


 キンっと言う音と共に核にヒビが入り、スライムは溶け煙になり消えていく。


 剣を受け取ると、

「やったぁ!」

 千風ちゃんはカードを持って、友君の所に行く。



「おめでとう、よく頑張ったね」


 これで無事2人も取れた、良かったぁ。


 帰り道、


数人カズトさん、手は大丈夫ですか?」


 友君が聞いてくる、スライムは手で触ると溶解液でケガをしてしまうのだが、バレてたみたいだ。


「回復魔法が使えるからすぐ治したよ、千風ちゃんには内緒でね」


「言わないですよ、でもありがとうございます」


「おう!」


 男2人で苦笑いして、嬉しそうな千風ちゃんを見た。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

ID 683266

名前 : トモ ミツルギ

種族:人間 /男

年齢:16 レベル:1

HP:50/50

MP:50/50


力:50

器用:50

丈夫:40

敏捷:50

知力:40

精神:40

運:30


職種:剣士 Lv 1

SP:20

【スキル】

剣術 Lv 1

回復魔法 Lv 1 NEW SP5

身体操作 Lv 1 NEW SP5

身体強化 Lv 1 NEW SP5

魔力操作 Lv 1 NEW SP5

生活魔法 Lv 1 NEW SP5

精神耐性 Lv 1 NEW SP5

病気耐性 Lv 1 NEW SP10

気配探知 Lv 1 NEW SP5

危険察知 Lv 1 NEW SP5

地図 Lv 1 NEW SP20

罠探知 Lv 1 NEW SP5

風魔法 Lv 1 NEW SP5

【固有スキル】

鑑定


【称号】


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

ID 686517

名前 : チカ ミツルギ

種族:人間 /女

年齢:11 レベル:1

HP:30/30

MP:30/30


力:30

器用:20

丈夫:20

敏捷:25

知力:30

精神:30

運:20


職種:ー Lv 1

SP:90

【スキル】

生活魔法 Lv 1 NEW SP5

危険察知 Lv 1 NEW SP5



【固有スキル】


【称号】


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 IDを確認し、68万……これが日本だけなのか? 世界の中でなのか? だが俺がID1なんだから世界か…………まだ一ヶ月ちょい。

 だがもう一ヶ月過ぎたのだ、大丈夫なのか? まぁまだ一ヶ月ちょいと考えておこう。


 俺が考えても仕方ない……


 それより友君はお父さんと同じ鑑定があったが、剣士になった。

 最初使ったのと同じ剣をプレゼントしたら喜んでいたが、家の外には持って出ない事を約束した。

 お父さんと一緒にダンジョンに行くらしい……可愛いな。


 千風ちゃんは年齢の為か、職業になにも出ておらず残念がっていたが、生活魔法が使えるのでなんとか宥められた。

 固有スキルの風は、少し風を操れるようだが本当に少しだ、それだけ? 進化などするのだろうか?


 最後に2人にマジックポーチを一個づつプレゼントし、危ない物は入れておくように言っておいた。


 これで本当に御劔家の全員の適応が済んだ。


 お父さんやお兄さんは、時間を見つけてレベル上げをするらしい。でも一層だけでやるそうだ。

 広いしジャイアントスライムもアレから見てないので問題はないだろう。


 心配だが帰って病院も行かねばならず、また来ると言う事でお父さん達に別れをつげ家に帰る。


 10日ほどだったが、前より皆んなと近付けた気がする。




 帰りの電車が憂鬱だ。



 千葉からの帰りの電車…………


 行きよりはだいぶマシになり、他人の目を見なければなんとかなる。


「結局実家のみんな、カード取ったね」


「何が起こるかわからないからね。近くに居てあげられないし。出来ることならもうちょっと居て、少しでもレベル上げの手伝いしたかったけど。子供達が心配だよ……」


「充分だと思うよ、友君達はお兄ちゃんに任せておけば大丈夫。お母さんとかマジックバック買って上げたら、めっちゃ喜んでたし。レベル上げは男達に任せていいよ」


「で? 美羽は結局どれくらい使ったの?」


「それは……女の買い物は色々とかかるんです! 数人も硬貨取ってきてくれたじゃん」


「全部出せって脅して持ってっただけじゃん」

 2人で顔を見て笑う。


 家に帰ったらダンジョンで稼がないとな……


 まーなんだかんだで忙しかったけど、いい旅行だったなぁ。

 

 あとはアイツラがちゃんとしてればいいけど、結局一回しか連絡しなかったしね。

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