第20話 ダイエットさせる中年

「換装……それじゃあ鍵開けるんで納屋の外から見てて貰っていいですか?」

 納屋の扉の前で、装備を整える。


「お、おぉ、いま一瞬で着替えたべ? それも出来るようになるんか?」


「転送の指輪は中々手に入りづらいのよ、数人カズトの邪魔になるから外に行くよ?」


「分かっとる、数人カズトケガするなよ? 引っ張るなって!」

 お父さんは美羽に引っ張られて納屋の外に、


 マップは中に入らないと切り替わらないけど気配が扉の前に何個かあるな。

 とりあえず開けて後ろに下がるか。


「開けまーす……よっと、スライムかよ!」


 中はスライムがウジャウジャ、そりゃスライムなら扉は開けられないわな。


「はあぁぁぁぁぁ、オラぁぁぁ!」


 スライム軍団を2本の剣で斬りまくる、少しでも減らさないとこれじゃ動けない。


「はぁ、はぁ、やっぱ剣だと効率悪いな……2本もダメにした、これももうダメかな」


 スライムは核を壊せばいいが、剣が溶けて来る為、中々つらい。

 扉の前だから納屋に被害が出るため、魔法も使えない。


 結局ある程度おさまったのは4本剣をダメにした後だった。


「スライムだね、魔法使えば良かったのに」


「いやいや、あの数を魔法でやるとたぶん納屋に被害が出てたと思うよ?」


「そっか、そうだね。まー手前のスライムは倒したんだし中は魔法で進めるね」


「とりあえずお父さんに剣で1匹倒してもらったら1層を回ってくるよ。

 美羽はお父さんと一緒いて、1人だと心配だから、職業とスキルは帰って来てからで」


「ケガだけしないでよ、まー数人カズトに任せるよ、お父さーん、やるよー」


 お父さんが肩を回しながら、

「おう、ようやくか! その剣でぶった斬ればいいんだな!」


「中にゴルフボールくらいの核ってのがあるんで、それを狙って下さい」


「よっしゃ、任せろ!」



「ほっ!」

 1発でスライムの核を真っ二つ、お父さん凄いな。


「これがカードか? んじゃどんどん行くか!」


「いや、ちょっと多いですし、俺が周り確認してきます。お父さん達は家で待ってて貰っていいですか? すぐ帰って来ますんで」



「俺も手伝うぞ、「お父さん行くよ」っだから引っ張るなって! おう、剣返すぞ、すぐ帰って来いよ」



 お父さんから剣を受け取り、

「了解です、行って来ますね」

 美羽に引き摺られてお父さんは家に帰った。


「さーて、頑張りますか!」



 一層を回って、


「宝箱は2個かぁ、あんまよくなかったな。スライムも魔石とゼリーしか落とさないしなぁ、てかゼリーはなんに使うんだ?」


 スライムを魔法で倒しながら進むとマップにデカイ部屋が映る。


「三層で出た毒持ちのパープルスライムか、ちょっとデカイビッグスライム辺りかな?」


 部屋の中を見ると、大型のダンプカー位のスライム。


「でっか……過ぎるだろ」



ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

ジャイアントスライム ランクC

レベル22

同族のスライムを取り込んで巨大化したスライム、溶解液を飛ばし捕食する

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 おわぁ、蠱毒ってやつか? 共喰いしてデカくなり過ぎだろ! てかランクCって初めてみたぞ。


「おわぁぁっ!」

 横に飛び込んで溶解液をかわす。


「まだ確認中だ、卑怯だぞ! って食らうかバカスライム」


 また溶解液を飛ばしてくる。

『キチュュゥゥぅうぅ』


「気持ち悪っ! 鳴き声か? って待てっつーの」


 走って溶解液をかわす、てか動かないな? 身体がデカ過ぎんのか? なら、


「ファイヤーランス」

『ギヂユュュュゥゥ』


 当たったとこが溶けるけど核まで届かねえな、ランスじゃダメか。


 どんどん溶解液を飛ばしてくるのを避けながら魔鉄の剣を取り出し、


「飛燕!」


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

飛燕:剣技 剣に気を纏わせて素早く振ることで太刀筋に合わせて気を飛ばし相手を斬る遠距離攻撃

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 ジャイアントスライムの左上がスパッと切れて床に落ちる。


「ファイヤーボール」


 落ちた塊を火魔法使って燃やす、


「せっかくダイエットに協力してんだから落ちたもん食うなよな!」


『ギヂユュュュゥゥウゥゥ!!』

 おぉ、モンスターも怒るのか?


 ん?あれ、


「おわぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!」


 横に勢いよく飛び避ける!ジャイアントスライムのボディプレスかよ。


「え、エゲツな! お前動けるのかよ!」


 でもさっきので少し体積減ったみたいだな、誤差みたいなもんだけど……やるしかないか。


「飛燕連斬」


「もいっちょ飛燕連斬」


 無数の斬撃がジャイアントスライムの身体を削って、ベチャベチャと後ろの壁に飛んでいく。


『ギヂユュュュゥゥ』


「ファイヤーボール。食うなって、ファイヤーボール」


 ジャイアントスライムが体を伸ばすが炎で邪魔されて手が出せないようだ。


 身体を削られてだいぶ小さくなったがまだ大きく感じるな。


 でも核がデカイからこれで届くか?


 溶解液の連弾をかわし、


「飛燕、飛燕、飛燕、飛燕、飛燕、飛…………」


 飛燕を同じ位置に連続で飛ばす。


『ギヂユュ』

 ーーバキン!!


 なんとか核に届きジャイアントスライムが溶けていく。


「これ今回しんどかったぞ。先に確認しに来て良かったー」


 避ける為に動き回り久しぶりに汗をかいた。

 お父さん達いたら守れる自信がなかったな。

 これでランクCか、まだ上がいるんだよなぁ。



 で、ドロップが、


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

青碧の水晶:水の力の宿った水晶


ジャイアントスライムの魔晶石:強力な魔力を秘めた魔晶石

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 おぉ、初ドロップ品だが使い方が分からんな。


 宝箱もいつもと違う鉄製っぽい、装飾がついてちょっと豪華! 罠なし鍵無し。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

黒魔鉄の槍:黒魔鉄製の槍


転装の指輪:装備を登録し、換装する事が出来る指輪

(出たけどこれどうするかな、美羽に相談だな)


マジックバック(ポーチ型):物品を10個収納、取り出しする事が出来る

(物品交換のやつより高性能)


巾着袋:金貨 2枚 銀貨 10枚

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 大収穫だな、奥に階段あるし。


 後は回ってない方から帰るか……下に何がいるかだけ確認しよっと。

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