第19話 親孝行する中年

 美羽の実家に着くとガチガチだ。


 とっても広い家で庭に畑、ビニールハウスが1つ、次男のお兄さんの家、など、どんだけ広いんだって最初はビックリした。


「し、失礼します」

 と玄関の扉を開けると、


 御劔 勝吉ミツルギ カツヨシ 美羽のお父さんだ、優しそうな顔だが昔は相当怖かったらしい。


「よく来たな、まぁあがれや」


 と言ってくれたが玄関を上がる前に土下座をし謝った。

 が拳骨が飛んできて男がそんな事するもんじゃない! と怒鳴られた。


 まぁその後笑っていた。



 で、その後茶の間で2人に話をする、世間がこれだけおかしな事になっているので少しだけ分かってもらえた。


 あとは夜にでもという事で、布団を敷いてもらい俺だけ休むことに。


「気にしないで少し横になってて、お父さんは畑に行ってるみたいだし、夕食にはお兄ちゃん達も来るみたいだから、その時話をすれば良いよ」

 と美羽は台所の方に行った。



 落ち着かないと思っていたが、布団に潜るとすぐ寝入ってしまったようだ。




 起きたら外はオレンジ色に変わっていた、病気になってから申し訳なくて美羽の実家に来れなかったが、なんとかこれたなぁと思い、外の景色を眺めて呆けていた。


「おぉ、カズト、久しぶりだべ、遠かったろ?」

 と声がした方に身体を向ける。


「お兄さんお久しぶりです、ご迷惑お「ゆっくりするんだべ? そんな緊張してたら肩凝るぞ? 今日はご馳走らしいから酒が美味いべ」……はい、ありがとうございます」


 急に部屋に来た長男のジュン兄さん。

 背は低いがリーゼントっぽい髪型で元ヤンらしく、よく武勇伝を聞かせてくれるとても明るく元気な人だ。

 俺に気を使わせないように起きたのが分かるまで待っててくれたみたい。


「美羽に聞いたけど冒険者? って最近流行りのやつだべ? なんかわかんねーけど飯の時教えてくれな」


「はい、色々出来るんで楽しみにしていて下さい」


「おぅ、んじゃまた後でなー」

 ほんとに美羽の家族はいい人ばかりで頭が上がらない……


数人カズト起きたね、ジュン兄来たでしょ? 数人カズトの事待ってたよ。ソワソワしてたから心配してたんじゃないかな? お話できた?」


「うん、そっか、来て良かった、お父さんは?」


「モモの散歩に行ってるよ、もーすぐ帰ってくるんじゃないかな?」


「明日、扉の中に入ってみるよ。モンスターの種類が分からないとお父さんに入って貰えないからね」


「そーだね、時間もあるしゆっくりすれば良いよ」


その後少し美羽と縁側でゆっくりした……



 夜になり、


「ライト」

 俺は生活魔法を使いライトを3個だし動かす。


「「「「「おぉ〜」」」」」


「これが魔法かぁ、手品じゃねーんだべ?」

 長男の潤兄さんが目を丸くして聞いてくる。


「生活魔法ってやつです、あとはトーチってライターみたいなのと、クリエイトウォーターって飲水と、ディグって穴掘りと、ブリーズって微風ですかね。ブラックボックスってゴミ箱にクリーンって綺麗にする魔法の7種類があります」


 長男の奥さんの風花フウカさんと子供のトモ君、千風チカちゃんは3人で便利そうだと話している。


「へぇ、生活に使える魔法ってのがあるんだ、なんか魔法ってホウキ使って飛ぶのとかだと思ってたよ」


 次男の奥さんの夏水ナツミさんは魔女のイメージかな?


「あると思うんですが俺はまだ使えないですね」


 ライトを消して今度はナイフを取り出し上に軽く投げて落ちて来るときに時停倉庫に収納、そしてまた手にナイフを取り出す。

 ジャグリング擬きをして見せた。


「あぶねぇべよ? もー分かったからそれはやめれ!」


 次男のアキラ兄さんをびっくりさせてしまったようだ。

 晶兄さんは背が高く185くらいかな? 髪型をツーブロックにし後ろで結んでいる。

 なかなかファンキーな見た目だが、人見知りで無口な人だ。でも最初会った時に一番最初に俺を名前で呼んでくれた凄く優しい兄さんだ。


「す、すいません、調子乗ってしまって」


「ま〜いいべよ、数人カズトが元気になってるなら」

 とお父さんが笑ってくれる。


「ところで親父がその冒険者になるんだべ? 俺がなってやるから無理すんなよ、もーいい年なんだからよぉ」

 と晶兄さん。



「自分の家だ、生きてる内は俺がやるべよ」

 


「明日俺がモンスターを確認してきてから、一緒にステータスカードを取りに行きます。絶対ケガはさせません」


「ほれ、数人カズトがこう言ってるんだから俺は絶対取るからな」


「あ〜ダメだ、俺らじゃ止めきれねーべ、数人、頼むぞ?」


「はい、任せて下さい」


「んじゃ飲むべ! 親父はそろそろ寝るんだろ? 俺ら仕事でいないけどくれぐれも無理すんなよ」


「分かっとる、んじゃおやすみな」


「「「「おやすみなさい」」」」


 お父さんは酔ったのかフラフラと寝室に入って行った。


「親父は言うこと聞かねーかんな」


「だ、あれは聞かねー、でもカズトが来たから1人で行かなくてすんだべ」


「だな、1人で行ってたら危なかったべよ」


 やっぱ来て良かった、でも聞かないのは美羽と一緒だな。


「なーに?」


 怖えよ、なんで美羽に分かるんだ? 自覚してるんか?


「なんでもないよ、明日の事考えてただけ」


 苦笑いして逃げる。


「俺たち明日も仕事あるからそろそろお開きだ、数人頼むな!」


「はい、任せてください」


 晶兄さん達は、自分の家に帰って行った。


 潤兄さん家族は、この家に住んでるから自分の部屋にビール片手に戻って行く。


「さぁ明日は頑張るかね」


「無理はしないでね?」


「ダンジョン一層だから大丈夫、注意はちゃんとするさ」


明日の為に……昼間寝ちゃったから寝れるかな……

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