第2話

「ただいま」

静かな家に、自分の声がこだまする。

「……誰も、居ないの?」

…いつものように、私を笑顔にしてくれる、

お母さんが居ない。

「…紙?」

居間の机の上に、一枚の紙が、置かれていた。

「あ…あ…あぁ…?」

紙の字を読んだ瞬間、視界が歪み、無意識の内に声が漏れる。

自分の頬を伝う液体が涙だと気付くまで、しばらくかかった。

「あ…あ…は…」

自分の意識とは裏腹に、口から笑い声が溢れ出てきた。

「あ…は…ぁ…あは…」

「あははっ…っ…あははっ!」

「は…はは…アハハハハハハハッ!?」

何でだろう。すごく悲しくて、涙が止まらないのに 、何でこんなに笑っちゃうんだろう…

そうか…私はもう…

笑うことしかできなくなったんだ…

紙には、ただ一言、書かれていた

『ごめんね』



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