8:6 沈まぬ舟

「ノア…というわけではなさそうですね」

「あいつは初代救世主としての彼。ノアとは別物と考えた方がいい」


 雨氷雫は二丁拳銃の銃口を初代救世主へと向ける。レインたちは彼女が"別物"と称した"彼"を見て、確かに異彩な威圧を放っていると雫に向けていた敵意をそちらへと移した。


「ノアか。アイツは本当に馬鹿な奴だよ」

「…ずいぶんな物言いですね?」

「そのおつむでよく思い出してもみろ。あいつは常に中途半端だったじゃないか。初代救世主にもなりきれず、ノアにもなりきれず。曖昧な境界線で生きていたどっちつかずの愚か者。あまりにも滑稽すぎる」


 初代救世主はその場にいないノアの事を嘲笑う。

 レインたちはどれだけノアが葛藤していたのかを知らないからこそ、それを平然と聞いていられた。だが雫はそれを聞いた途端、露骨に怒りの感情を露にし、


「…だまれっ!」


 初代救世主へと詰め寄り、両手に持つ銃のトリガーを何度も引いた。


「アイツの代わりにお前が怒るのか?」


 そんな雫に対して初代救世主は白と黒の二丁拳銃を手元に創造し、目前まで迫る弾丸を回避しながら反撃をするために発砲を繰り返した。


「"ガンカタ"で私に勝てるとでも?」

「お前が元祖でも素質は俺の方が上だ」


 ガンカタとは二丁拳銃を用いた近接格闘術。

 相手の弾丸の軌道を解析するために一定の定理に基づいて軌道を予測、退避と共に相手死角内に回り込み攻撃を行うという攻防一体の戦闘術である。


「…イキらないで」


 相手の銃口が自分へと向かないように防衛しながら、自身の銃の矛先を相手に向ける戦い。一見地味そうにも見えても、反応が遅れればただの怪我じゃ済まない。飛んでくるのは拳ではなく弾丸。当たり所にもよるが、一発でも食らえば致命傷は避けられなかった。 


「お前は数多くの修羅場を潜ってきたと自負しているようだが…」

「――!!」


 だからこそ一瞬でも気が抜けない。銃口を防ぐことだけを考えていた雫。彼女の死角となる上空に、初代救世主は何十発かの弾丸を放り投げる。


「所詮それもユメなんだろう?」


 そして上空にばら撒いた弾丸のうちの一発を狙って初代救世主はトリガーを引いて発砲した。


「厄介なことをっ…!」


 弾丸がそこへ着弾した瞬間、次々とばら撒かれた弾丸たちが軌道を描き、雫の周囲へと降り注ぐ。被弾を避けるために彼女は前、左右、後ろへと飛んだり動き回ったりを繰り返しそれを回避した。


「ならこれでどうだ?」


 次は先ほどの何十倍もの量の弾丸。それを上空へと軽々と放り投げ起爆剤となる弾丸に狙いを済ませ、再び弾丸の雨を空から降らせ始めた。


「…あれだ!」


 弾丸が弾丸へと当たり、次々と真下へと撃ち出される仕組み。それを知っていた雫は上空を見上げながら、片手に持った銃である一ヵ所の弾丸を狙って発砲した。


「途中で弾丸の連鎖を止められたか」


 適当に弾丸をばら撒いて適当に撃っただけでは決して相手には当たらない。初代救世主が使用した技はいわば何十万、何百万とある弾丸の軌道の中からすべてが起動し、真下へと撃ち出されるタイミングを狙って発砲していた。


「…私だって、その技の防ぎ方ぐらい知ってる」


 完璧な状態でなければ成し遂げられない技。だからこそ少しでも弾丸をずらされたりすれば、そこでその技は軌道を逸らされた影響で瞬く間に崩壊する。


「あの人は抜けているようで強い人…なんだね」

「もしかして、オレたちに手加減でもしていたのか?」


 ヘイズとビートが彼女の強さに呆然としてしまう。傍観者となっているレインたちを他所に、雨氷雫と初代救世主は不発弾となった弾丸がぽろぽろと空から落ちてくる中で再び二丁拳銃の銃口を自身の左右に向けた。


「考えることは一緒なんだな」

「…目的は違うけどね」

 

 なぜ二人が銃口を相手にではなく両側へと向けたのか。

 その答えはすぐにレインたちの前で光景として映し出された。


「…嘘」


 二人は落下してくる不発弾を狙い弾丸を撃ち出して、次から次へと連鎖のように軌道を描かせる。どれも相手の眉間を正確に狙う軌道を予測しているようで、お互いの弾丸が自身の身体に迫る弾丸に衝突し合い、相手の身体を傷つけるために弾丸を迫らせていた。


「レベルが…違いすぎますね」


 二人の周囲を銃声・火花・火薬の臭いが包み込み、足元には群がるように薬莢が取り囲む。この戦いは決して力だけの戦いではない。知性と技術、この二つが大きな核となってこの戦場を作り上げているのだ。


「ちっ…!」

「場数の差が出たな」


 しかし互角に渡り合っていたはずの戦況は雨氷雫の方が劣勢となりつつあるのか、彼女の頬を弾丸が掠めた。雫はすぐに煙幕を使用して、レインたちの元へと一度大きく退く。


「おい! 大丈夫かよ!?」

「何とかね。けど、ノアとしての彼が弱まりつつある」

「ノアとしての彼? それが初代救世主と何か関係でも?」


 雫は弾丸によって負わされた頬の切り傷を再生で治療すると、レインたちへこう説明をした。


「このユメノ世界では初代救世主とノアの二人はこの世界でどちらが身体の持ち主となるか戦っている。ユメノ世界で働かせられる力が百あるとするのなら、それをノアと初代救世主は奪い合っているってこと」

「じゃあ、初代救世主がノアの分の力を奪い取って強くなっているの?」

「簡単に言えばそう。今は八十ぐらいが初代救世主の方へと与えられているから」


 本来なら半分ずつ与えられる力は奪い合いとなり、初代救世主が八割を独占している。これがもしすべて独占されれば、ノアとしての彼は跡形もなく消えてしまいゲームオーバーとなるのだ。


「逆に彼が強い意志を持ってくれれば、アイツを弱らせることができる。誰でもいいからノアを探してきて」

「ノアを探してきてって…。どこにいるのか分からないの?」

「分からない。だから探してきて欲しい」


 雫は二丁拳銃を握り直して、煙幕が晴れて姿を見せた初代救世主に銃口を向ける。探してきてと頼まれても、この広い真白町から手当たり次第にノアを探すのは骨が折れてしまう。レインは周囲を見渡してどこに行けばいいのか迷っていると、


『――こっちだ』

「……?」


 どこからともなくそんな声が聞こえた。今のは何かとブライトたちを見るが、どうやら聞こえていないようでその場であたふたとしているだけ。


『ここからすぐ近くにある青い屋根の家に…』


 青い屋根の家。

 レインは目を細めながらゆっくりと目印となる青い屋根を探してみれば、


「…青い屋根って」


 たった一軒だけ青い屋根の家が目に入った。


『…そこに、行くんだ』


 声の主の正体は分からない。ただ懐かしいと感じることで、自分自身が知っている誰かなのは確か。彼女はそれを思い出そうとはせず青い屋根を指差して、


「あそこにいる気がする」


 雨氷雫たちにそのことを伝えた。


「あの家にどうしていると思ったの…?」

「…何となくいる気がしただけ」 

「…そう、なら行ってみる価値はある」


 レインの曖昧な返答に何か確信を得た瞳を見せる雫は、初代救世主の元まで走り出し、


「全員であの青い屋根の家へと走って…! 一人でもあそこに辿り着ければいいから!」

  

 レインたちへとそう指示を下した。


「させると思うか?」


 あの青い屋根の家は初代救世主が立っている方向。全員で易々と辿り着ける場所ではないため、雨氷雫は一人でも到達できればいいという考えでその作戦を下していたのだ。


「かはっ…!?」

「――っ!!」

「うぁぁっ!?」


 初代救世主は蹴りや手榴弾の爆発で次々と脱落者を出していく。その猛攻を潜り抜けようと必死に走り抜けて、何とか青い屋根の家の目前まで迫ることが出来たのは、


「チッ、二人通したか」 


 レインと雨氷雫。

 レインは第一キャパシティである移動型である時雨の状態を上手く活用し、雫は初代救世主の攻撃パターンを予測しながら回避行動を行っていたおかげで無事に通り抜けられたのだ。


「だが遅いな」


 初代救世主はあっという間に二人の元へと距離を詰める。これでは全員辿り着けないまま終わってしまうと考えた雫は振り向きざまに二丁拳銃で発砲をした。


「あなたが行って…!」

「…! でもあなたが行った方が――」

「私じゃ彼の意志を変えられない…! あなたじゃなきゃダメなの!」


 初代救世主と攻防を始めた雫はレインへとそう叫ぶ。


「…分かった」


 一瞬だけ躊躇ったレインだったがすぐに考えを改め雫へと背を向けると、青い屋根が印象的な一軒家の玄関。そこへ続く扉へと手を掛けた。


「――必ずノアを連れ戻してくる。それまで生き延びて」


 そう伝えてから扉を開けば、レインの身体は玄関から溢れ出る光に包まれる。


「……ここは?」


 爆発音や銃声やらが聞こえていた空間から一変。そこはどこかの学校の廊下。少しだけ近くの教室へと顔を覗かせてみれば木の机が並べられており、窓の外にある空は夕焼けによって赤く染まっていた。


「二年一組…」


 近くにあった教室には"三年一組"と書かれた室名札が付けられている。レインはノアを探すためにその教室の中へと足を踏み入れてみる。


「……」 


 そこにいたのは白色の制服を身に纏い、窓際の机に座って外の景色を眺める人物。後姿だけでもレインにはその人物の正体がすぐに理解が出来た。


「――ノア」


 案外あっさりと見つけられたこと。

 レインは少しだけ安堵しながらも、彼の元まで歩き始めた。


「お前は…どう思う?」

「……ノア?」

「この景色を見て、どう思う?」


 彼女が近づく気配を感知したのか、ノアは顔を窓の外に向けたままそんなことをレインに尋ねる。


「…綺麗だと思う」 

「綺麗…か。普通の意見だな」

「そんな話をしている場合じゃない。今、あなたの片割れの初代救世主とブライトたちが戦っている」

「…そうだな」

   

 仲間が戦っているというのにレインはノアに他人事のような返答をされて、無言のまま彼のすぐ側までずかずかと歩み寄った。

 

「立って、初代救世主を倒すにはあなたの力が必要なの」

「俺の力じゃ何も救えないぞ」

「救えない? あなたは何を言って…」

 

 窓から視線を逸らして、首を動かしてレインの方を見たノア。


「…言葉通りだ」

   

 その顔は同じ場所を彷徨い続けていたかのような虚ろなもの。レインはそんな酷い顔を見せられて、思わず言葉を喉に詰まらせてしまった。


「俺は、誰も救えていない」

「…救えているでしょ? あなたの力のおかげで――」  

「それはすべて初代救世主の力だ。ここまで生き残れたのも初代救世主としての俺がいたから」


 初代救世主としての力、初代救世主としての知識。

 彼を象っていた主なものはその二つ。力で目の前に立ちはだかる敵を倒して、知識で様々な作戦を提案し殺し合いを乗り切って生き延びてきた。


「ノアと初代救世主…俺はどちらを取ればいいのか分からない。普段ならすぐに決断を下せるのに、この選択だけはいつまでもいつまでも俺の頭の中に残り続けた。だけど俺はノアとして今まで暮らしてきたよ。それが正しいと思って」

「……」

「でも途中で気が付いたんだ。本当に必要とされているのは、本当に皆を救っているのは…ノアじゃなくて初代救世主なんだってな。その証拠にお前たちはノアじゃなくて、初代救世主の力と知識に頼っていただろう?」


 過去の自分を捨てようと努力をしていた彼は誰にも打ち明けず、自分の中でひたすらに抱え込み、彼の中でそう結論を出したのだ。ノアなんてものはいなかった、そこにいたのは初代救世主だけだったと。


「誰が戦争を止められる? 誰がエデンの園で殺し合いを止められる? その答えは簡単だ。あの冷酷で無慈悲な初代救世主しかいない」

「……」

「これが俺の返答だ。ノアは必要ない。必要なのは初代救世主としてのアイツ――」

「違う」


 彼の答えに、レインは即答で否定する。


「必要とされているのも、救っているのもノアとしてのあなたでしょ」

「…励ましの言葉なんていらないぞ」

「励ましじゃない。これは揺るがない事実。あなたは"ノア"として仲間に必要とされていた。ノアとして仲間を救ってくれていた」


 そして彼の手を握って、自分自身の胸へと無理やり触らせる。


「これはあなたが…ノアが"言葉"で救ってくれた私の命。ノアが誓ってくれた私の命」

「……」


 ノアの手に伝わるのは一定のリズムを刻む心臓の鼓動。

 それを確かにレインは彼へと伝わらせる。


「初代救世主が知識と力で誰かを救うのなら、ノアは"言葉"で誰かを救っている」

「言葉…」 

「それだけじゃない」


 レインは自身の右ポケットに手を突っ込んで何かを握ると、それを胸に引き寄せた彼の手の中に強く握らせた。


「思い出して。私たちに託そうと、あなたに託そうとしてくれた人のことを」


 ノアがその手の中を開いてみれば、そこには真っ白な宝石が握られていた。


「…その人たちは決して初代救世主としてのあなたに託したわけじゃない。ノアとしてのあなたに託したの」


 その白色の宝石は小泉翔の第一キャパシティが込められた宝石。それに気づいたとき、彼の頭の中に様々な人物が走馬灯のようによみがえる。


「あなたが前世でどんな人物だったのかは分からない。でもノアという名前に託されてきた想いは本物」

「……」

「これだけは覚えておいて。私たちは初代救世主の知識と力を信じて、ここまでついてきたわけじゃない」


 レインは白色の宝石を握る彼の手を両手で包み込み、


「――ノアの言葉を信じていたからここまでついてきたの」

「……!!」


 ノアの表情がみるみるうちに変化していく。

 何か吹っ切れたような、何かを悟ったような顔へと変わり始めた。


「よくこんなところまできて、俺を探し出してくれたよ」

「…ここにいることは、兄さんが教えてくれた」

「小泉が?」


 レインはノアと話し始めた時からあの声の主が誰なのか見当が付いていた。それはこの世にいないはずの小泉翔。彼女だけに聞こえていたのは、小泉の宝石をレインが持っていたから。


「この世界はユメノ世界。ノアの記憶に兄さんのことが残っていたから、きっと私を導いてくれたんだと思う」

「……」


 ノアは白色の宝石を強く握りしめて、無言でその場に立ち上がる。


「――ケリをつけに行こうか」




 ◇◆◇◆◇◆◇◆




「どうした? もう息切れか?」

「…まだ!」

 

 雫は初代救世主を相手に奮闘…いや、健闘していた。レインを送り出したその後、力の差は埋められることもなく、雫は劣勢のまま押し込まれつつあったのだ。


「くっ…そぉ!」

「歯が立たない…よ」

 

 ブライトたちも何とか援護をしようと初代救世主に攻撃を仕掛けるが、すべて捌き切られるか反撃を食らって吹き飛ばされるかのどちらか。


「天国へ行けるといいな」

「…」


 雫が白色の銃を額に突き付けられる。


「助け…ないと!」


 雫を助けようとヘイズが立ち上がり、創造武器であるアルテミスの弓を構えるが、


「邪魔をするな」

「きゃ…っ!?」


 もう片方の黒色の銃でヘイズたちへと発砲を繰り返し、それを阻止されてしまう。


「お前たちじゃあ、俺には勝てないんだ」

(ここで…終わるの?)


 そして初代救世主が躊躇いもなくトリガーに手を掛けた。



「そうだな。お前に勝てるのは俺だけだ」


 

 その瞬間――初代救世主の身体が青い屋根のある一軒家まで吹き飛んだ。


「…大丈夫?」

「あなたは…」


 レインが雫に手を差し伸べる。

 彼女は驚いた表情を浮かべつつも、その手を握りその場へ何とか立ち上がった。


「…遅いお目覚めだな?」

「ああ、早起きは苦手なんだ」


 初代救世主の前に立っていたのは、初代救世主と同じ創造形態の格好をしているノアとしての彼。雫はそれを目にして、呼び戻せたのだと安心する。


「路頭に迷っていたやつが今更出てきて何のつもりなんだ?」 

「気を付けた方がいい。俺は寝起きの機嫌が悪い方なんだ」


 煽り合いから始まったのは同じ二丁拳銃でのガンカタ。

 お互いに同等の実力なようで、戦況は比較的に均衡していた。


「求められているのは初代救世主の俺だというのにお前は随分と出しゃばるんだな」

「それ以上出しゃばるのはやめておけナルシスト。後から恥をかくぞ」


 ノアは初代救世主の前から一瞬にして姿を消すと、


「――速度変化スピードチェンジ


 弾丸の速度を極限まで低下させて、初代救世主の周囲に張り巡らせた。


「…お前、その能力は」

「俺とお前では託されているものが違うんだよ」


 ノアは小泉に託された能力が込められた白色の宝石を使って、第四キャパシティに速度変化スピードチェンジを継承させている。速度変化を発動して戦っているノアの姿を見たレインは、微かに兄である小泉翔の面影が重なり溢れ出そうなものを抑え込むために思わず瞳を閉じてしまう。


「この程度で俺に勝てると思うか?」

「お前さっきから問いかけが多いんだよ」


 ノアは指を鳴らして、弾丸を光の速度まで一気に底上げさせた。

 初代救世主はそれを何度も何度も避け続けていたのだが、


「そろそろか」

「なっ――!?」


 音もなく額に直撃する寸前まで迫っていた一発の弾丸を見つけたことで、初代救世主は思わず声を上げてしまう。


「ブラインド。他の弾丸に注目が行き過ぎて気が付かなかったみたいだな」

「小細工を…!」

 

 初代救世主はブラインドされた弾丸を額にめり込ませながらも、何とか後方に倒れて回避をした。


「ここで問題を出してやる」

「…問題だと?」

「――お前は本当に生きているでしょうか」


 後方に倒れる最中、初代救世主は自身の身体を見る。


「…!!」


 初代救世主の身体は風穴だらけ。

 ノアは光の速度で弾丸を一斉に撃ち出していたが、実際は途中ですべての弾丸の速度を遅くしていた。分かりやすく例えるのなら"ラグ"を利用していたのだ。


「痛みに慣れるっていうのは、ここで命取りになるんだよ」

 

 初代救世主は避け切れていると錯覚していただけで、実際に避けれたのはブラインドのみ。


「さて…さっきの問題の答えだが」


 光の塵となって消えていく初代救世主。

 ノアはそれを横で見下ろしながら、



「――あの世で答え合わせをしてきな」


 

 そう吐き捨てて、消えるさまを見届けた。

 初代救世主がその場から消滅したことで、辺りの景色が移り変わり、


「……ルナか?」


 エデンの園にある海岸の景色の中、ルナたちが立っていた。

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