「じぃー……」

「…………」

（な、何かしら……？　さっきから、朝（あさ）倉（くら）さんがわたしを凝視してくるんだけど……）

（全く……予想外だったわ！　ま、まさか──、私以外で安（あん）藤（どう）くんに『仲の良い女の子』がいたなんてね！）

（わたし……何かしたかしら？　もしも、学年カーストトップにいる朝倉さんを敵に回すようなことなんてしてたら……女子の中でわたしの居場所なくなりかねないわよ!?）

「委員長……。少し、二人で話せるかしら？」

「え、朝倉さん!?　え、ええ……わたしでよければ……」

（ヒィイイ！　朝倉さんからの呼び出し!?　今まで委員長キャラというポジションで、平穏に過ごしてきたわたしの学校生活が……まさかの突然のピンチ!?）

「な、何かしら？　朝倉さん」

「その……い、委員長は！　安藤くんとは仲がいいのかしら？」

「え？　安藤くん……？　いや、別にそんな仲良くはないわよ」

（な……『仲良くない』ですって!?　あれで仲良くないなんて、ウソでしょう!?

　委員長はあそこまで安藤くんと親しげに話しておいて……仲良くない？　だけど、昨日の図書室で見た二人はどう見ても仲良さそうだったじゃないのよ！）

（え？　朝倉さんは何で、急に安藤くんのことなんか聞いたのかしら？　別に、わたしとあの男は図書室で少し話すだけで、そこまで親しい関係ではないし……『友（とも）達（だち）』と言うよりは『クラスメイト』の方があってるわよね……？）

「……委員長、誤（ご）魔（ま）化（か）したって無駄よ？　だって、私は見たんだから！　委員長が図書室で安藤くんと仲良く談笑しているのをね！」

「へ？」

（図書室って……昨日の？　ああ、あの会話の様子を見てたのね。でも、それを何で朝倉さんが気にして──）

（あの時、私は見たのよ！　安（あん）藤（どう）くんと親しげに笑い合う委員長の『笑顔』を！　つまり、貴方（あなた）は安藤くんに『恋』しているに違いないわ！）

（え？　も、もしかして……朝（あさ）倉（くら）さんって、安藤くんのことを──っ!?

　はぁぁああああ!?　あ、ありえないでしょ！　それって、どんな『美女と野獣』ならぬ『美女とぼっち』よ！　……へ、へぇ～、安藤くんも隅に置けないわねぇ……ん？

　ちょ、ちょっと待ちなさい!?）

（委員長……私、負けないわよ！）

「がるぅ～」

「…………」

（も、もしかして……朝倉さんにライバルだって疑われてるのぉおおおおおお!?）

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