第三章

【図書室】

「こんにちは、あんどうくん。今日も図書室に来たの……?」

「こんちはー。そういう委員長も、昼休みは図書室にいるよね」

「わたしは図書委員だからいいのよ。でも、貴方あなたは図書委員じゃないでしょう?」

「だって、お昼休みって暇だし……」

「なら、ともだちと話すなり遊べば良いと思うけど……?」

「ねぇ……俺が『ぼっち』だって知ってる?」

「それは、当然でしょう?」

「なら、言ったし……」

「クラス委員長として、貴方がクラスにめるように、アドバイスをしているのよ」

「よけいなお世話だし……」


(ふぅ、委員長は相変わらずお節介だな。見た目は三つ編みメガネで真面目まじめで優しそうなのに、中身は結構辛辣だよ。別にタイプじゃないけど……委員長は俺と一緒で、お昼休みはいつも図書室にいるから、よく話すんだよな)


「それで、委員長は何の本を読んでいるの?」

「この前に発売した、ばくげきぶんの『ろうじよせん』よ」

「あぁー、あの結構本格的に戦争してる戦記モノだよね? 委員長って、そういうハードな小説や古風なの好きだよね」

「そうね。わたしはラノベよりも、一般文芸やライト文芸を中心に読むけど……安藤くんは逆に、ファンタジーものとかライトノベルらしいのが好きよね?」

「まぁ、比較的いろいろ読むけど……最近は『な●う』系が多いからな」

「『な●う』系ね……。わたしはあまり読まないジャンルだわ。でも、最近話題になっている『君のカルビをめたい』は気になってるわよ」

「ああ、あれね! あれはかなり良い作品だからオススメだよ」

「そうなの……? じゃあ、安藤くんがオススメするなら買ってみようかしら?」


(安藤くんって、クラスでいつも一人だから暗いイメージだけど、話してみると意外とそうでもないのよね。でも、異性としてはタイプじゃないわね。だって、わたしの好みのタイプは『レット・バトラー』みたいな男性だもの。

 まぁ、でも……こうして、昼休みに本の話をする相手としては『あり』……かしら?)


あんどうくん、いつもオススメの本を教えてくれてありがとう。多分、その優しさをクラスの子たちにも向けてあげれば、ともだちもできるんじゃないのかしら?」

「いやいや……委員長こそ、いつもよけいなお世話をありがとう。その無駄なお節介を直せば、良い彼氏の一人もできると思うよ?」

「フフフ……」

「アハハ……」


((……この野郎!))




「………………」


(安藤くん。その女ぁ……。誰ぇ、かしら?)

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