第4話

 意を決した庭山は、教室に戻り扉を開けるのであった。

 「お、戻ってきた」

 「お帰り」

 「やっぱり来たね」

 「うれしい、戻て来てくれたのね」

 何か、予定調和な感じがして釈然としないが、相馬の笑顔を見て喜びを感じるとともに、彼女を孤立させないぞという使命感に燃え始める庭山。

1人で盛り上げっている所に、藤田が近寄り、

 「岡安さんに、言いくるめられたね」

 「え?」

 「そうなんだよね、あの人は」

笑いながら新井が話を続ける。

 「あの人は、何時もそうなんだよ。適当に言葉を見繕って、それらしい言を投げかけて、押しとどめようとするから。あ、僕もその1人ね」

 「へ?」

仁井田が、庭山の横を通り過ぎながら、

 「まぁ、失敗する事もあるけどね。そもそも、あれが嫌で、だれも此処に近づかないんだけどね。無知って怖いわね~。あ、私もその1人」

 「じゃ、相馬さん・・・」

 「えへぇ、私もその一人なの。あ、岡安先輩に何言われたか知らないけど、あの人の事は鵜呑みにしない方がいいわよ」

 「孤立とか・・・、信用とか・・・」

 「たかが部活に、其処までするわけないだろう。うちはフランクなんだから、みんな仲良く、どんな人でもウェルカムさ。あ、ちなみに僕は自主的に入部したから」

 藤田に、肩をたたかれご愁傷様と祈られる。

 「TRPGで会話・・・」

 「ああ、確かに会話は必要だけど、だからと言ってそれが絶対ではないわ。口下手な人だってゲームを楽しんでいるもの」

 嬉しそうに、相馬が庭山の手を握り締めるが、その感触に浸っている気力は残されていない。


 ❘何が本当で、何が嘘だったんだろう。

そもそも、相馬さんの件は何だったんだ。TRPGで会話うまくなるんじゃないのかよ。

もう、何が何だかわかんね❘


 「では、新入部員が入った事で」

 「「「バンザイ!!」」」


 「あ、あの!」

 「何だい?」

 「考える時間が欲しいので、体験というか・・・仮入部でお願いします」

庭山の精いっぱいの抵抗だった。

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