#006 「親に呆れた話」

 十和子さんは子供の頃、『場末』という字の読みをずっと『ばまつ』だと間違って覚えていました。


 そして中学生の頃、それがお母さんに発覚。「こんなカンタンな字も読めないで、高校受験は大丈夫なの?!」とひどく叱られてしまいました。


「間違ってたのは仕方ないでしょ。じゃあ何て読むのよ、この字」


 そりゃあもちろん、ばすえ・・・

 と言いかけ、お母さんはしばらく黙り込んだ後、「そういうことは自分で調べなさい!」とプリプリしながら台所の方へ行ってしまいました。


 ――どうやら ここぞという所で、自分の教養に自信が持てなくなったみたいです。

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