よく晴れた朝だった

上高地 日時

第1話僕という人間

目を開けるといつもと変わらない真っ白な天井が見えた。ピッピッピッピとつまらない電子音が聞こえている。数年前、医者に18歳の誕生日を迎えるのは難しいと言われた。別に驚かなかった。物心ついた時から一緒にいたのはこの病気、ただ一つだった。僕とともにこの病気も成長した(病気の場合進行の言うが、、、)。病気の人間はよく一般の人を見てうらやましいと思うらしいが僕の場合逆だった。「普通の人は長く生きなければならないのか。かわいそうだ。」と思っていた(今も思っている。)僕は今16歳。この命が終わるまであと2年もある。いや、いつ何が起きてもおかしくないのだが、とにかくだいたい2年だとしよう。・・・僕は何をすればいい?毎日こんなことを考えながら、外を見たり、マンガを読んだりしている。ああ、暇だ。今日は何をして過ごそう。そんなことを考えているとドアをノックする音がした。誰だ?

「楓君、体調はどう?」

「また来たんですか?加藤さんも暇ですね。」

加藤さんは僕の看護師。余ほど暇なのか1日に多い時では10回以上来る。看護師って忙しいイメージがあったから小学生になりたての頃は少しがっかりした記憶がある。

「またまたー。私が来ないと寂しいくせにー。」

「別に。何も思わないですけどね。」

こんな風に話をしてくれるのは加藤さんだけだ。少し、、、ありがたい。僕にはお母さんがいないから。僕を産んでからすぐにどこかに行ってしまった。今更会いたいとは思わないけど時々寂しい。だからなのかもしれない、加藤さんがここに来るのは。

「あ、楓君さ、学校から連絡あったわよ。今度お見舞いにクラス委員の子を行かせるって。もしかしたらそこで恋が芽生えちゃったりして?」

「加藤さんって本当に考えが古いですよねー。そんなのないですから。」

すると加藤さんは「古いってなによー。」と僕にひと突っ込みしてから「また来るわね。」と言って病室から出て行った。僕という人間はあまりいい人生を送っていない。でもこれで満足だ。

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