第22話 手袋を嵌める時
手袋を嵌める時。それはいつだろうか。
寒くなったら。冬になったら。でも、それはいつからだろうか?
最近の天気予報は便利なもので、服装のアドバイスもしてくれるものが多い。今日はトレンチコートが必要、厚手のコートがいいですよ、という感じなので、上着についてはその助言に従って選んでいるのだが、手袋を出すタイミングがいつも掴めない。
ある時、無意識に、雪が降ったらするものと思い込んでいるせいだということに気がついた。北国では手袋がなければ指先は容易に凍える。手袋無しでは歩きながら雪玉を拵えることもできないしので重大な機会損失である。
ところが雪が降らない地方では、そもそも雪が降ることが少なく、あっても非常に限られている。雪を基準にしていては、そもそも手袋をすること自体の機会が損失されてしまう。
雪が降らないということは、そもそも雪が降らない程度には暖かいということなのだから、手袋は必要ないのではなかろうか。そんなことを考え出すと、ますます手袋をする機会が失われていく。
同じく北国在住経験のある友人にこの話をしたら、
「たとえ周りの誰ひとり手袋をしていなかったとしても、手が冷たいなと思ったら手袋のしどきよ」
と助言をもらった。
確かにそのとおりだ。そのとおりなのだが、今の所冷たいけれどそこまでではないという感覚であり。未だに手袋をクローゼットから取り出してもいないのである。
この季節は、雪が恋しい。
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