可愛いだけじゃないんだよ
n.
第1話
可愛いだけじゃないんだよ ymmt
自慢の彼女と付き合って早3年。仕事と彼女を両立しながら何気ない日々を送っている。最近は互いに忙しいので、合間を縫って癒しを求めるように思い出の1ページをまた創っていく。
今日はその新たな1ページを描く日。時間は短いが、刻むのには十分だ。時計の針が9時を指す。そろそろ彼女が現れるだろうか。
「ごめんね、お待たせ」
『んーん、お疲れ様。行こっか。』
寒いね、なんて言い訳して彼女の手を握る。
彼女の頬が少しだけ赤くなったのを見逃さなかった。ふふ、何しても可愛い。
「『かんぱ〜〜い!!』」
こうやってお酒を片手に彼女との時間を過ごすのは随分と久しぶりだ。一杯目来たお酒を彼女はグビグビと彼女自身に流し込む。少しペースが早いのではないだろうか。余程疲れが溜まっていたのだろう。まあ、介抱係は言わずもがに僕なんだけど。
「んー!これ美味しい〜」
『随分と笑顔じゃん、何かあったの?』
生ハムを頬張る彼女に問い掛ける。
「最近ね、大きなプロジェクトをいくつか終えたんだけど、全部成功したの!しかも、上司が"君のおかげだよ"なんて言うからもう嬉しくって!」
そう答える彼女がすっごく眩しく見えた。
僕といる時間も楽しそうだけど、仕事をしてる時間もきっと彼女にとって楽しいんだろうな、と。
『そっかぁ、それは良かったね。』
「祥彰は何か最近あった?」
『んー、最近かぁ、、今は何も変わらないかな〜。ただひたすらに記事の作成に追われてる笑』
「そっかそっか、大変だね。私もだけど、祥彰も無理しちゃダメだよ?」
『それは大丈夫。無理しすぎると伊沢さんがちゃんと休みをくれるから。』
「いい社長じゃん〜!」
へへ、なんて笑う彼女は3杯目のお酒を頼む。
「今日ペース早くない?大丈夫?」
『久しぶりに祥彰と飲めるのが嬉しくって』
今日はたくさん名前を呼んでくれてる。
凄く気持ちが良い。恋人に自分の名前を呼ばれる小さな幸せがあることが。
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