第129話元旦1日真っ暗な元旦

病院の日終わり玄関前でタクシーを待っている

現実から目を背けようと必死な1日だったような気もするし

連綿と戦おうとする 準備をしていた一日だったような気もするし

これこそが現実なのだと 噛み締め踏みしめてきた一日だったような気もする

ただ 不思議と相変わらず自分が不幸だとは思えない

俺は自分を不幸だと思ったことがあまりないと言うかない

幸福だなぁと

大変だとか辛いとか そういったネガティブな感情や状況やそういったものは山ほど抱えたり感じたりしてはいるんだけれども

なんだかんだと母と子どもたちの団体の話をしたり いろんな選手のものまねをしたりくだらない話でキャッキャしたり

その時間がとても幸福だなあと 感じていた

通常だったら元旦は恒例の スポーツ観戦の日なのだけど

それも一日母と遊び回るだけなので

物が見れるか見れないかということを除けば は例年通り と言えば例年通り

家に戻ってきてからの生活が非常に苦しく大変になるのは 分かっているので

それまで 少しでも隙があればそこに幸福をねじ込んでしまおうかと思っている


そうなんだよね 幸福か不幸かで言ったら不幸を感じたことはないんだよ、今も

ただ幸運か不運かと言うと 幸運ではないし不運だなと思う


俺は

願ったことは叶わないし こうなってほしくないと思ったことはそうなってしまう

それにもちゃんと理屈がある

願ったことというのは妄想だったりするから 勝算があろうがなかろうが願ってしまうのだ

一方でこうなってほしくないと思う事っていうのは 今の状況を分析して

これはそうなってしまいそうだなということが分かるからこうなってほしくないと思うんだよ

だからそもそも最初からそうなってしまう 可能性が極めて高い

逆説的と言うか

変な話 分析力が へんに高いのだろう

こうなってほしくないけどなってしまうんだろうなという分析が全て当たっているというね

こうなってほしいというのが叶わないのは

分析した結果叶わないんだろうなと思うから願うわけで

だから叶う確率が極めて低い


どうでもいい話だ

そんなことを考える 力を現実を乗り越える 方に回すべきだわ

真っ暗な元旦

病院の玄関でタクシーを待つ

今から真っ暗な無人駅で 電車を待つことになる

そして真っ暗な誰もいない家に帰る

なんて言ってたらタクシーが来た

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