第4話全てがもう二度と行けない場所になる。
10月31日、早朝に母がろれつが回らない、右半身に力が入らないと訴えてきた 。
8時半から9時の間に救急に電話 病院へ搬送してもらう。
MRI 他検査の結果 脳梗塞 糖尿病 その他 いくつかの 病気が見つかる。
もともと病院に行くといろいろな 病気が見つかってしまうんではないかと言う 恐れから なかなか病院に行きたがらなかったこともありある程度は覚悟はしていたものの その数値の 高さにおののいてしまう。
入院の手続き書類を 書いた後一旦帰宅。
生活費の銀行入金等をすませる。
衣類を詰め込み 洗面用具の 買い足し 自分のお昼ごはんも食べる。本来なら 文化発表会の休憩時間に母と一緒に食べるものだったと思うと 涙が 止まらない。
母の愛猫と一緒にポロポロ泣きながら 病院に向かう
道すがら2 L のスポーツドリンクを買う
また駅前で母の教え子三人に会う
母のことはもちろんまだまだ 言うこともできず 僕にもまだ現実感がないこともあってか 楽しく おしゃべりしてしまう
病院に到着。
着替えたとか諸々を病室にセット。
母は非常に元気な様子で 全然まだ帰れるんじゃないかなどと笑っていた
その後、医師の説明を受けると かなり重篤だと知らされる。現段階の脳梗塞の症状で 止まることがないかもしれない とのこと。
入院が長引くとか いろいろの予定が 白紙になるとか そういうことよりも、 今後二度ともこれまでの生活が戻ってこないと言う 現実。
母にそれを伝えることができず もちろん伝えたところでどうなることでもなくただ大きなストレスが溜まるばかりかと考え ひたすらいつも通り明るく楽しく話をする。
そろそろ帰ろうという話になった時に 喉奥に唾が溜まったとパニックになる母。
家では、パニックになると立ち上がってうろうろして解決してきたと言う母。
ただ寝て安静にするということが一番の現状維持なので その要望飲むことができない。
看護師さんも一生懸命 面倒を見てくれ 何度も何度もうがいをし 睡眠を促す点滴も打っていただき 8時過ぎにようやく落ち着く。
本当は一言をかけて帰りたかったのだけれど 僕の姿を見てしまうとまた 気持ちが 大きく揺れてしまうかもしれないので そっと帰宅。 とてもつらい
自宅に帰り 作っておいてくれた煮物と ご飯をいただく
日々観ていたインターネット番組を視聴してみる。
いつもの日常が少し回復されて気になって 多少なりと心が 落ち着くも 母のことを思うと 落ち着いたり少しなりとも笑えてしまう自分が非常に許せない気分にもなってしまう
その番組を見ながら何度か寝落ちをし 23時 になると同時に 寝る
あ けて11月1日。
朝5時半に目が覚める
もう一度寝ようとするも寝付けない
水分をたっぷりとり パソコンをつけ いつもの行為をして 気分を落ち着かせる。
まず朝ごはんを食べなければなのだけど 食欲がまるでないので一日のルーティンワークを作って行くことにした。
朝は洗い物。
ゴミが出たらゴミ処理 その後、猫のトイレ掃除 洗濯については週に1回程度 タイミングを見て。
炊事は長いことしていたのでなんとかなるとして 洗濯だけは非常に苦手でこれまで 一度も触ったことがない。教わったことはあるものの全部任せきりだっただけに 不安。
不安といえば 今後の買い出しがどうなってしまうのかとも思う。 これまで通っていたスーパーは遠いところが多いため、まず 選択肢から外れてしまう。近い場所だと食材が高い極力 お弁当での食事を避けたい。
今後の手話団体の活動については まだどうしようか迷っている
母は 交流会については出演してほしいという意向。直前なので 穴を開けるわけにもいかないとは思っている が 母なしで成立するんだろうかと
交流会 以後の活動については、どこかで 最終的な決断を 下さなくては いけないかもしれない。
ただ活動休止という形にしてしまうと それはそれで母が責任を感じてしまい大きなストレスになるので どういう形にしろ 動かしていく ほうがいいようにも思う
スポーツ観戦については医師との相談によってになる。 買ってあるチケットについて、一人で行く気にはなれないし かといって誰かといっても母のことが気になり楽しめない早くスポーツ観戦だけでも できるように と 祈る思い
けれども 今後ここで症状が止まるという保証が一切なく リハビリ病院まで 視野に入れなくてはいけないという医師の話を 鑑みると この先のあらゆる生活が これまでどおりではなくなる ことを母も俺も受け入れなくてはいけない
母はもちろんながら 俺が今 慄くほど受け入れることができないでいる
これまでの日常がもう戻ることはないと言う現実は あまりにもつらく これまで当たり前のように一緒に入っていたスーパーやリサイクルショップ、本屋など 全てがもう二度と行けない場所になる。
その 小さな毎日の幸福がすべて失われる。
ただただ そうやって二人で遊びに行くことが楽しくて 経済的に苦しい からいろんなものは買えないんだけれど 安い品物を探して 安い服をコーディネートして かっこいいのかっこ悪いのと大騒ぎして 観戦に着ていく服を見つけ 、手話のイベントで着る衣装を見つけ ただただそんな 時間が楽しかった
それがほぼ全て今後失われる
のみならず そういった生活で集めてきた服 や 本 諸々が目に入るたびに 苦しい
なんとか 新しい日常を構築していきたいのだけれど それは母が帰ってきてからの話
今はこの非日常を なんとか 日常として 再構築して 自分も母も 最も壊れない、下降しない 毎日を 遅れるようにしなきゃいけない。
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