07:20発、窓の外に気になる彼。

葉桜 笛

第1話 気になる人

 高校までバスに揺られて30分。

 車には弱い方で、ってしまうから窓の外をぼんやりながめる。

 これが、私の日常。


 今日も、ぼやぁっと、バスに酔わないために外を眺めていたら、自転車がバスにピッタリついて走ってた。

 そういえば、いつもいる気がする。

 学ランに、白いビニール製の四角いかばんななけに背負って自転車をこぐ人。

 白い鞄はスポーツ系の部活の人がよく持ってるもので、自転車の前のカゴに入れずに、わざわざ背負っているのが印象的だった。

 何部なにぶの人なのだろう?



『バスにピッタリくっついて、自転車こぐの早いなぁ』



 と、何となく眺めていたら、うつむいている彼の顔が少し見えた。




 カッコいい!!




 運動部だから少し日焼けしてて、引き締まった顔が真面目で優しそう!!

 見た目だけでは性格はわからないけれど、赤信号の時に止まる仕草しぐさが、さわやかでカッコ良かった。

 私の1コ上かなと、ドキドキしながら観察していたら、向こうが私に気がついた!




 どうしよう!変な女と思われる!!




 話したことないし、他校だし、これからも接点などないと思うけど、嫌われるのが嫌だと思った。一度嫌われたら挽回ばんかい仕様しようがない。

 血の気が引いてきた時、バスと並んで走る自転車の彼がイタズラっぽく笑った。




 笑った顔は更にカッコいい!!




 心がね上がった。つられて、私まで笑顔になる。

 一気に頭にまで血が登った私は、耳まで真っ赤になった。

 どちらかというと、私は普段テンションは低い方で、女子が「きゃあ!」と叫ぶのがわからないでいたけれど、今ならわかる。

 私は今、まさに「きゃぁ!」と叫びそうになった。

 一気いっきにテンションが上がった時、女子は「きゃぁ!」と叫ぶ。

 勉強になった。


 自転車の彼は、別れ道で小さく手を振って去っていった。

 制服と、別れた方角から推測すると、レベルの高い進学校と思われた。



『頭が良い上に、スポーツまでするのか。住む世界が違うわ。

 ……でもまた明日、会えたら良いな。

 バスでの通学の間だけで良い、あの人にドキドキしていたい』



 早く明日にならないかなと思った。

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