ネクスト騎士団その2
ネクスト騎士団の入団試験を受けている俺は、さっき魔力部門でとんでもない記録を出してしまった。この国の人間の中でも3番目に高い魔力らしい。まぁ、そんなことはさておき、次の試験は····
「次は····実戦です!」
「え?」
どうやらアリスたちの代では入団試験に実戦は無かったんだろう。そうであって欲しい。まさかアリスが嘘を吐いてるなんてことは無い····よな?
「試験官はカイン・ロマン!」
「え?」
聞いた事があるような名前が聞こえてきたぞ?カイン····あ!思い出したぞ!ギルドの試験で俺が戦った人だ!
そして、出てきたのは見たことがある鎧を纏った人間。
「僕が試験官のカイン・ロマンです!よろしく!」
やっぱりか····またこの人と戦うことになるのか····
すると案内役の女性がルール説明をする。
「カインさんは魔法の実力はもちろん、剣術の方も優れているので皆さんはどちらかを選んで戦って貰います!もちろん、両方の方が得点は高いですよ!」
試験を受けている女性は必ず、魔法を選ぶだろう。そもそもカインが本気で戦う訳がないだろうがな····
その予想は的中していた。彼は一切本気を出さずに一人一人の実力を見極めていた。
そして数十分後、俺の番が来た。
「昨日はお世話になりました····カインさん」
「君は昨日の!新人魔法剣士君じゃないか!」
「さぁ!剣術と魔法で勝負しましょう!」
俺は存在を忘れていた、マナ達と会ってから全然喋らないファーストとセカンドを召喚し構える。だがカインは自らの剣を抜かない。するとカインは驚きの言葉を口にする。
「君は合格だ。昨日の時点で既に実力は見極めさせてもらっているからね」
俺はファーストとセカンドを体の中に戻す。外に出していても喋らないし、人型のままにさせていると俺の魔力も削られてしまうからな。
「ありがとうございました····」
何か、スッキリしないな····
俺が試験を終えると騎士団の女性が叫ぶ。
「これで!入団試験を終わります!先程の部屋でお待ちください!」
俺たちはまた最初の部屋に戻ってきた。するとまたしてもあの子が声を掛けてきた。
「あの!まだ自己紹介がまだでしたね?私はカリンと申します、以後お見知りおきを····」
「俺の名前は翔だ。今後ともよろしく」
するとカリンが握手を求めてきたので俺はしっかりとその手を握る。
「それよりも先程の試験官のカインさんと知り合いだったんですね?」
「ああ、俺、昨日ギルドに入ったばかりで、その実戦試験で戦ったんだよ」
「ギルドの実戦試験って····あの騎士団の精鋭をチームで倒す····あれですよね?」
「うん、でも俺は一人で戦ったけどな····」
その言葉を聞いたカリンはものすごく驚いた。
「一人で戦ったんですか!?それで、勝ったんですか?」
「なんとか勝てたよ····」
「すごいじゃないですか!だからさっきの試験が免除だったんですね!」
「うん····」
俺がカリンと世間話を始めて数十分後、さっきの騎士団の女性が部屋に入ってきた。
「それでは合格発表を行います!まず····」
その女性は手に持った紙を見ながら次々と名前を呼ぶ。もちろんそのなかにはカリンと俺の名があった。今回の試験で落ちたのは47人中0人で誰もいなかった。全員合格だ。
そして名前を呼び終わった騎士団の女性は話を始める。
「突然だが、私の自己紹介から始めさせてもらう!私の名はルーナ!ネクスト騎士団の副団長だ!本来は団長から話があるのだが、今日は生憎、遠征に行っておられるため私が代理で話を行う!」
さっきの口調とは異なり、すごい攻撃的な口調に変化した。それに副団長というのも驚いた。
「君たちはもう、立派な見習い騎士だ!この国の民を守る重要な役についたのだ!君たちは正義の代行者となりこの国に迫る危険や悪の手を退けなければならない!」
騎士団というのは正義の味方の集まりと言ったところか····正義の味方····か、いい響きだ!
「そのためにも日々の厳しい訓練に耐え、必死にもがけ!良いな!」
厳しい訓練····それを乗り越えれれば俺も強くなれるかもしれないな!
「私からは以上だ!解散!」
騎士団本部から出るともう外は暗くなりかけていた。
「あれ?そんなに時間経ってたっけ?」
俺は不思議に思いながらも宿に戻った。そして自分の部屋に入り、机の方に向かうとそこには1通の手紙があった。俺はその手紙を読む。
「突然ですが、私たち4人は遠征に行きます。恐らく数ヶ月は戻れないと思います。寂しい思いをさせるかもしれませんが頑張ってください····Byアリス」
マジかよ····これからずっと一人か····
そんな事を思っていると、ファーストとセカンドが出てきた。そしてファーストが俺に頭を下げる。
「黙り込んでしまって申し訳ありませんでした····我が主」
「何か、事情があるみたいだし····また話せれる時が来たら話してくれよ?」
「分かりました」
俺がファーストと話しているとセカンドが話を始めた。
「主よ?」
「どうしたんだ、セカンド」
「どうしてそんなに魔力が高いんだ?」
「勇者だからじゃないの?」
「違う····そんなの並の勇者ではたどり着けない領域だぞ?」
そういえば魔力値がとんでもなく高かったが····もしかしたらセカンドが封印している魔王の魔力が俺に流れ込んできているのかもな。
「しかも、我の中に封印している魔王の魔力が流れているわけでもない····」
「え?」
「そしてなぜ、主の中にもう、魔王の魔力が存在しているんだ?」
「そ、それは····」
しまった····そういえばセカンドに封印されている魔王とは違う魔王の魂が俺の中に居るんだった····どうやって説明しようか····
「えーっと····おやすみ!」
面倒くさいことになりそうなので、俺は布団の中に籠ることにした。
「主にも何か事情があるみたいだな····まぁ、今のところは見逃してやる。だが、いつか絶対に説明してもらうぞ?」
俺の中にファーストとセカンドが入っていった感覚があったので起きようかなと思ったが、何故か急な眠気に襲われそのまま寝てしまった。
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