怒りの覚醒そしてリセット
今日もいつも通り、アリスたちと狩りをしている。
その身には先日、工房で作ってもらった装備を纏っている。俺は全身に漆黒の鎧を纏っている。アリス、カーマは全身に銀色の鎧、リー、マナは全身に銀色のローブを纏っている。
「最近、魔物の量が多い気がしないか?」
「そうですね····ここ最近で魔物の数は倍以上に増えているようですし、ギルドの情報だと多くの村に被害が出ているようですよ?」
「まぁ、個々がそんなに強くないから殺られる心配はないのですよ」
明らかに量が多すぎる。たった2週間で魔物の数が倍以上に増えるなんて····とりあえず、警戒だけはしておこう。
「よし!もう日が暮れるから帰るぞ~」
ギルドへ向かい、素材を売る。そして宿へ向かい、アリスたちと食事をする。そして、みんなと別れ、宿で寝る。
(魔物の増加が自然に起きたとは考えられない····やはり、誰かの陰謀があるに違いない····)
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朝起きると、俺は知らない場所にいた。
「ここは、どこだ?」
突然、俺の後ろから声がした。
「起きたかい?君は寝ているときが一番無防備なんだね~」
「お前は誰だ!なっ····」
体が動かない。手と足を拘束具によって縛られているようだ。
「僕はね~、フェレスっていうんだ~」
「いったい何が目的だ!」
「目的?そんなの決まってるじゃないか?この国を滅ぼすんだよ、そのためには君が一番邪魔なんだよね~」
「まさか······お前が魔物を増やしていたのか?」
「せいかーい!今は大体、100万匹くらいかな~」
「だが、この国には結界があったはずだ!」
ラッシュ王国には黒龍でも貫くことの出来ない強力な結界がある。たとえどれだけの魔物を用意しようが結界を破れなければ意味は無い。
「結界なんて、無駄だよ。だって、結界の内側に魔物たちが潜んでいるんだからね~」
そうか····あの結界は外から来る魔物から国を守るためのもの。元々、中にいる魔物に対してはなんの効果もないのだ。
「君には特等席で見してあげるよ~」
そう言うとモニターが現れ、王国の状況が映る。それは酷いものだった。すでに城下町はなく城も半分以上が壊滅していた。
「なぜ、この国を滅ぼす!」
「僕はね~、僕の力を証明したいんだよ~」
「それだけか?それだけの理由で····この国を」
この男は自分が強いことを証明するためにこの国を滅ぼそうとしていたのだ。そりゃそうだ。たった1人で国を滅ぼしたとなれば、その名は確実に世界に轟くだろう。こいつの頭はすでにぶっ壊れていた。
「あ~、それと君がいつも一緒にいる女の子達はもう死んでるよ?」
「アリスたちが死んだ··だと?」
「そうだよ!君が寝ている間に君を守って死んだんだ~、死体は回収してあるから後であげるよ~あはははははははは!」
「何笑ってんだよ······」
「今の君に何ができる?」
「『
「ほう、魔力を底上げしたか··だが、魔力だけ増やしたところで君は僕には勝てない」
「黙れ!!」
『
ただでさえ自らの魔力を高める
その時、仁の体は耐えきれず自ら意識を手放してしまった。
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俺は何もない空間にひとり立っていた。そして、懐かしい声が聞こえてきた。
「ダメじゃ!このままでは暴走するぞ!」
「良いんだ····師匠。何も守れなかった俺に、勇者の資格はない!」
「そんなことはない!お前は、自覚がなかったようだが····お前は今まで、数えきれないほどの人間を救ってきたんじゃよ?」
「違う!俺は結局····何も守れなかった!」
「全てを救うなど、誰にもできはしないのじゃ!」
「だけど!俺には力があったんだ!何かを守れる力が!誰かを救う力が!」
その瞬間、俺の意識は
「なんじゃと!貴様····この気配は魔王の!」
「そうだ····」
魔王は静かに答える。
「なぜ····仁の体に入っている!」
「こいつは我の力を欲していた。こいつは言ったのだ「人じゃなくなってもいい」と」
魔王は謎の術式を組み始めた。
「お前はいったい何をするつもりじゃ!」
仁の師匠は魔王に怒り混じりに問いかける。しかし、その答えは仁の師匠の予想とは全く違った。
「我はこの世界を救う」
「魔王が世界に救いを与えるじゃと!」
驚く師匠の声を聞きながら、魔王は何かの準備を終わらせる。
「良いから、黙って見てろ····」
「まて!まだ話は····」
魔王はその場から消え去った。どうやら意識が体に戻っていったようだ。
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「王の証よ!勇者の証と一つとなりて!我に力を!」
部屋全体が、閃光に包まれる。
「いったい、何が····」
閃光が消えたとき、そこには前までの仁の姿はなかった。そこにいたのは、真っ黒な闇だった。
「『
そこにいた闇は、魔法を発動する。
「な、体が動かない!どうして!?」
「貴様の体は空間そのものに固定してある。もう、お前の体は動かない」
「君は····仁ではないね?君は誰なんだ?」
「我は······魔王アストラルだ」
アストラルと名乗る魔王は魔法の詠唱を始める。
『魔剣召喚』『聖剣召喚』『武器召喚』
アストラルは右手に聖剣を、左手に魔剣を握り、その周りには浮遊する剣が20本、円を描くように移動していた。
「なに!?魔法を同時に3つ制御している····だと?しかも魔剣····だと?」
「お前はただでは殺さん。お前は苦しみながら死ねない地獄を味わえ」
アストラルの浮遊する剣20本がその場から動くことの出来ないフェレスを串刺しにする。その後、魔王はフェレスに魔剣と聖剣を同時に突き刺す。
「魔剣は、お前を永遠に殺し続け、聖剣はお前を永遠に蘇生し続ける」
『
アストラルが魔法を発動すると、フェレスはその場からいなくなった。空間作成で作った部屋にフェレスを転送し、その空間をこの世界と隔離させる。
「さらばだ····愚かな人間よ」
「さて、元に戻すとするか····」
『
まず、王国の時間を仁が誘拐される直前の夜に戻す時間魔法を使う。そして、時間を止める魔法を使った。
『聖剣召喚』『複製』『
聖剣を召喚し、それを30本に複製し、そのすべてに『
数分後にはもう魔物の姿はなかった。
フェレスはもう、この世にはいないことになっている。魔王はフェレスの陰謀に終わりを告げた。その瞬間、アストラルの人格が入れ替わり仁に戻っていた。
そして宿で朝を向かえた仁は何事もなかったかのように起きる。
「さて!アリスたちと朝ごはんを食べに行くぞ!」
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