4人の女騎士
「あ~、誰か人通らないかな~」
俺は、平原で独り通行人が来るのを待っていた。
「聖剣見せれば、連れてってくれるって、師匠言ってたけど、誰も通らないんじゃあなぁ····」
「ゴォォォ!」
平原に轟音が響く。
(今のは····かなり近いぞ!)
俺は急いで音の聞こえた方向に走る。そして、かなり近くなったところで何か、黒い物体が見えた。
黒い翼、黒い体、黒い瞳を持つそれは、とても禍々しいオーラを出していた。
「あれは、いったい····」
さらに近づくとその正体に気付く。そう、それはとてつもなく大きい龍だったのだ。
そして、その足元には鎧と兜を着た、騎士が4人。龍と戦っていた。
「そこの鎧を着た人たち!大丈夫か!」
4人に声をかける。すると、
「なぜこんなところに子どもがいるのです!早く逃げなさい!」
(こ、子どもじゃないし!もう成人済みだし!)
「ゴォォォォ!」
龍の咆哮が響き渡る。周りの木や草たちは
(そろそろ、あれを使おう)
『聖剣召喚』
俺がそう唱えると、聖剣が現れた。これこそが、闇を払う、輝きの聖剣である。
「はぁぁ!」
仁が聖剣を振る!その瞬間、聖剣から光が溢れ、次の瞬間には黒龍が真っ二つになった。
「え!?黒龍ってこんなに弱いの!?なら先に言っといてよ····」
そんなことを呟いていると、騎士たちが近づいてきた。
「君は一体、何者なんだい?」
ここで、「僕は勇者です」なんて言ったらまじで引かれる。
だから、ここは適当に····
「僕は、たまたま通りかかった旅人です。ラッシュ王国に向かっていたのですが、田舎から出てきたばっかりなので、迷子になってしまいました····あと、この事は黙っておいてください····お願いします」
「君はラッシュ王国に向かっていたのか!偶然ですね!私たちもラッシュ王国に向かっていたのですが、黒龍に会ってしまって····」
ほう、なら一緒に連れていってもらおう····
「そうですか!それじゃあラッシュ王国まで案内をお願いしてもいいですか?」
「ああ、もちろんそのくらいなら····そういえば、兜を付けたままでしたね····」
そう言った騎士は兜を外し、素顔を晒した、すると緑色の綺麗な髪の毛が目に映った。
(めっちゃかわいい····)
「初めまして。私は、ラッシュ王国騎士団団員のアリスといいます。赤色の髪の毛の子がリーで、青色の髪の毛の子がカーマ、銀色の髪の毛の子がマナです。」
そういうと他の3人も兜を外すと、丁寧にお辞儀をした。その後、アリスは言葉を続けた。
「とてもお強いのですね····あの黒龍をたった、一人で倒されてしまうなんて····」
話を聞くと、どうやら黒龍というのは龍のランクでいうと、上から5番目らしい。それにしても5番目というのはどのくらいの強さなのだろうか。
「黒龍は強いほうなんですか?」
「黒龍は私たちでは勝てません····勝てるのはラッシュ王国の宮廷魔術師と、王国戦士長だけです。」
(え····それやばくない?黒龍が群れで襲ってきたら、王国潰れるやん····今までよく存続できたな)
「王国付近に黒龍が現れることってないんですか?」
「ありますよ。でも王国には強力な結界があるので、襲われることはありません。」
そういうことか。納得だ。
「では、話の続きは王国に着いてからにしましょうか。」
「そうですね、ずっと立ち話も疲れるので。」
そして、王国に向かった。
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