魔王となった勇者は運命に抗う

魔王勇者アストラル・サード

第1章始まり編

勇者の末裔

「おい!起きろ仁!」


「うぇ····あと5分だけ····あと5分だけで良いからぁ····」


「何回それを言えば気が済むんだ!これ以上は寝させぇぇん!」


「最悪の目覚めだよ····」



なぜ俺がこんな目にあっているのかというと、それは半年前に遡る····


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


そう、それは自分の家で独り魔法の練習に励んでいた時。

 


「ふぅ····やっぱり魔法を使うと疲れるな····少し眠····ろう····」



 起きるとそこは見知らぬ場所だった····

さらに目の前には見知らぬお爺さんが····



 

「ようやく目覚めたか、小僧」


「え?お····お前は誰だ?ここはいったい?」


「お前には、今日からワシの弟子になってもらう」


「いやいや!まず、俺の質問に答えろよ.」


「そうだった、そうだったすまん、すまん」



 

目の前のお爺さんは軽い言葉で言った。


 


「ワシは、勇者の一族の末裔じゃよ」


「は?」


「ここはネビュラの森といってもワシの住処じゃ」


「は?」



 

意味がわからない。

なぜ俺はいきなりこんなところに来て、この人の弟子にならなければならないのか。

 そんなことを考えているとお爺さんが涙を流し始めた。


 

「頼む!ワシの弟子になってくれぇぇ!なってくれないと世界が滅んでしまうんじゃよぉぉ!」


「あんたの弟子にならないのと、世界が滅ぶのとはどういう関係が?」


 

そう問いかけた、すると俺の服を掴んで叫んできた


 

「もう、ワシしか生き残っていないんじゃよぉぉ!このままだと魔王を倒す術を永遠に失ってしまうんじゃぁぁ!頼むぅぅぅ!」


「分かったから!分かったから服から手を離せ····」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


てな訳で無理矢理この人の弟子にさせられたんだが、毎日、修行で正直、退屈だ。


 

「たまには、モンスターと戦ってみたいなぁ····」

 


俺がそう呟くと師匠が突然現れて、

 


「ダメじゃ!そんなこと、怖くてさせれんわ!」

  

「どうして?」


「お主は、まだ自分の魔力を使いこなせれていいからじゃ」


「もう修行始めて、半年も経つんだけど?今まで何の修行してきたんだよ俺は?」


「武術の修行じゃよ」


 

うん! 何言ってるか全然分からん!

だって、半年も修行させられたんだぜ?しかも、剣道とか、弓道とか一般的なものばっかりだし····


 

「その顔やめてくれんか?」


「いや、無理」



俺は即答で答えた。



「分かった····では勇者の技の継承の儀式に入るか!」

どんな修行が待っているんだろうか····とっても楽しみだ。


「では目を瞑れ!そのまま、集中力を保ち続けるんじゃ!」

 


5分後··············


 

「目を開けろ!」


「あれ?もう終わり?」

 


たった、5分間集中しただけなんだが····


 

「お主は、たった今、勇者の称号を得た!」

あれ?勇者ってこんな簡単に成れるもんだっけ?


「忘れるところじゃった、はい、これ」

(何だ、これ?鉄の塊?いや、これは剣か!)


 

師匠が軽いノリで渡してきたのは鉄のかたm··じゃなくて····剣だった。



「この剣は?」


「その剣は、勇者の一族よって受け継がれてきた、聖剣じゃよ。」


「は?」

(え?聖剣ってこんなにボロいの?)


「とりあえず、その剣に、魔力を注いでみろ」


 

 とりあえず、剣に意識を集中させた。すると、ただの鉄の塊だった物体が、光りだし、完全な剣の形に変化した。

 そして、俺の体に吸い込まれていった。


 

「さぁ行け!新たなる勇者よ!」


「お、おう!今まで世話になった!」


「あ、すまん、また忘れるところだった...」


 

そう言うと、師匠は一枚の紙を渡してきた。



「これは?」


「勇者の一族の技の発動条件と、詠唱が書かれているから、読んでおくんじゃよ!」


 

ほう····それはありがたい!



「それじゃあ、世話になりました!」


「元気でな~!」


 

 そして、ネビュラの森を抜けると、平原が広がっていた。

振り返るとそこにはネビュラの森はなく、師匠の姿もなかった····



(本当にありがとう、師匠...)



そうして、俺はまず、人がたくさんいるという、ラッシュ王国に向かった

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