社会科室
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第1話
社会科室 wtnb
「ねえ先生、ここわかんない」
『範囲が広いね、テスト前なのに大丈夫?』
「お願いします」
『じゃあ社会科室で。』
社会科室に招いた先生の名は渡辺航平先生。このクラスの日本史担当。わからないことは1から丁寧に教えてくれる。そんな先生に惚れたのは約1年前。じっくりわかりやすく至近距離で説明してくれるのも、コンタクト姿が見られるのも、いい匂いがするのも、あどけない笑顔を見せるのも、全部私が先生を好きな理由に当てはまる。
私はクラストップの成績優秀者だ。だからテストもほぼ満点。日本史に関しては去年までは満点以外取ったことがない。でも、先生が好きだから、わざと低い点を取る。といっても80点台後半なのだけど。
それはさておき、もうすぐ学年末テスト。先生は今年いっぱいで移動してしまう。だから、テストが終わったら想いを告げる。
放課後
「失礼します。」
『お、やっと来た』
『じゃあ補講を始めようか』
先生の合図で始まる。
『ここはここと協力したけど、ここはどこと協力した?』
「んー…ここ?」
『わかってんじゃん、』
「今分かったんですー」
真面目に補講を受けて早1時間。
『そろそろ終わりにしようか』
「はい」
「先生」
『ん?」
「学年末テストで満点取ったら約束聞いてくれます?」
『…いいよ。』
すんなり受け入れてくれた。
答えを聞きたいが聞きたくない。
「じゃあ、失礼します」
『ん、気をつけて帰れよ。』
帰宅後
とりあえず満点を取ることが条件なので勉強を始める。
補講の時に広げてた参考書とノートをまた広げる。
「…なにこれ?」
ノートの切れ端に見覚えのない落書きが。
128√e980
「数学じゃないんだけど。」
はぁ…なんて溜息をついた時。
「…え、」
ようやく意味が理解できた。
「いやでもそんなわけ、」
自分に対するものではない、と何度唱えたことか。
それより、日本史で満点取らないと。
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