キス


(先輩のことは好きだけど…迷惑かけたいわけじゃない)


もう和明には選択肢など残っていなかった。

万が一にでも直を傷つける可能性があるなら、少し距離を置くのも仕方ないだろう。



生徒会室に戻っても、和明はなるべく直との会話を避け、一人で帰宅した。


(先輩…泣きそうな顔してたな…)


帰り際の直の表情。

その寂しそうな直に胸が痛んだが、そこで立ち止まれる程、和明は大人ではなかった。


自分の行動は直を守る為だと、無理に自分自身に言い聞かせる。

結局、その後も直を避け続けた。

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