第10話 鮮血の死闘! ただしその鮮血は鼻から出る!!⑧

 女の子の裸にときめき過ぎて、鼻血を噴いて戦闘不能の私!

 そんな私を膝枕して、天使のように微笑む白ビキニの早百合ですが!?


 付き合いも長い親友なので、うん、わかってる。

 その頭の中は、エッチな企みで真っピンクだということは!


「ふふ、今から輸血するね?」


 そう言って早百合は! わ、私の魔法少女コスチュームを脱がし始める!?


「さぁ、脱ぎ脱ぎしようね♪ 脱ぎ脱ぎ♪」


「ほ、ホントにナニがしたいのー!?」


 この魔法少女コスチューム、私の魔力で編まれたものなので。

 た、ただでさえボロボロに破けてた状態なんですけど! 強引に早百合に脱がされます!?


「ハァハァ、りりなの裸♪ やっぱり水着より裸よね♪ ほら、パンツも脱ぎ脱ぎしよ♪」」


「ら、乱暴にしないでぇっ!?」


 今日のパンツ、せくしー黒下着。これ、早百合からの借り物だよ? 忘れてないよね!?

 とにかく私を裸に剥きながら、早百合大興奮!!


 そして!


「早百合、逝きまーす! 受け取ってね♪」


 ……鼻血噴出。

 ぶしゃーと噴かれたそれは、熱い血しぶきとなって私の顔に。


 え、輸血ってまさかこれ?


「はうっ♪ りりなのスレンダーボディ、健康的に程よく日焼けして、とてもエッチだよ♪ 私も鼻血が止まりません!?」


 ぶしゃー。ぶしゃー。親友の鼻血に染まる私。


 うん、はっきり言おう。ドン引きです。


「どうかな、私の輸血?」


 どうもこうも。何このダイナミック輸血。

 いや待てこれ輸血にならないし。血管に入ってないし。

 顔に掛かってるだけだし!


「てか私たち、血液型合ってたっけ。私、A型なんだけど。早百合は?」


「ふふ、私はB型よ♪」


 ダメじゃん! 輸血なめてんの?


 裸のまま全身真っ赤に染まって、ちょっとスプラッタな状態の私。

 心の中で。


(ああ、我が親友は頭が弱いのだなぁ……)


 早百合の残念淑女っぷりに、気が遠くなりそうでした。

 まぁ、そんなところも可愛いけど♪


 などとほっこりしていたら!

 早百合の血がぽうっと淡い光を放って、私の肌に吸い込まれていく?


「あ、あれ? ちょっぴり回復してる?」(血液ゲージ、20%に上昇)


「そうか! これは百合の力だ!!」


 あのねステファニー。百合のせいにしとけば何でも解決すると思ってない?


「いやマジで! 女の子が女の子の服を脱がすという百合的シチュエーションで生まれた百合魔力が! 君の血液に変換されて回復したんだよ!!」


 つまり、それって?


「つまり、もっと百合ん百合んすれば回復するんだよ!!」


「結局、アレなのね……」


 はい、百合キスしなさいってことね。


「ふふ、私はいつでもオッケーよ♪」


 早百合も鼻血を拭いて準備万端。これは、いくしかないわね!


 けどもちろん、それを黙ってみてるほど悪魔も甘くない。

 子爵級悪魔アハートヴァール、蒼き水の魔軍(くどいようだけど、全裸の女の子!)に号令!


「回復など、させるものかぁッ! 征けぃ魔軍よ!!」


 ここでステファニー激怒!


「卑劣な! 百合キスを邪魔するなんて、人の心が無いのかい!?」


「ふははははは! 私はガチホモだからな! そんなもの見たいと思わんのだッ!!」


「くっ何たる悪魔!?」


 悪魔の高笑いと共に! 裸の女の子たちは手に手に取った槍や斧で!

 私たちに襲い掛かる!


 でも! させない!


「来たれ、魔剣よ!」


 閃く黄金の魔剣! 天空より降り注ぎ、私たちの周囲、円陣状に突き立つ!

 すると。

 眩しい光と共に、魔法の障壁を展開! 堅固なバリアが、悪魔の力を寄せ付けない!


 どーよ、器用でしょ?


 さあ、これで邪魔も入らない。ロリっ娘ミルちゃんはプールサイドで熟睡してるので、教育面への配慮も要らないね♪


 裸の私と、水着の早百合。ドキドキ♪

 両手の指と指を絡めて。正面から向き合って。


「い、いくよ、早百合?」


「……はい」


 うん、何度やっても、キスは新鮮です。


「……ちゅっ♪」


 さっき何百人も、水で出来た女の子とキスした私だけど。早百合の唇の味は、やっぱり別格♪

 ぷにぷにと柔らかくて。とても暖かくて。ああ、いい匂いするよー♪


「ん、ちゅっ♪ やっぱり、早百合とのキスは、ぷちゅ♪ 最高ね! ちゅぅー♪」


 胸がどきどき、高鳴ります♪


「ふふ、私もドキドキしてるよ♪ ちゅぅ♪」


 熱いベーゼ。舌を絡めあって。唾液を通じて、魂が一つになるまで。


「ちゅっ♪」


 そう、百合魔法少女の戦いにおいて。キスこそ全ての基本。

 あらゆる武術に基本の技があるように。愛を込めた女の子同士のキスこそが、魔力の源。

 基本にして、究極。

 ノー百合キス、ノー百合魔法少女。これぞ百合魔法少女マジカル☆リリィの根底に流れる戦闘哲学です!


 ちなみに。


「あわわ、全裸の女の子数百人に囲まれながら、ちゅっちゅちゅっちゅ百合キスに勤しむ2人の乙女! 凄い絵撮れたよ!? これはBD売れるぞー!?」


 ステファニー大喜びです!


 さて!


「よぉっし、回復したー!!」(血液ゲージ100%)


 完全回復! やっぱり困ったときは百合キスね♪

 信じがたいけど! キスしたら血が増えたよ! もちろん魔法少女コスチュームも魔力で元通り!


「てか、なんでもありね。百合魔法少女って」


「何をいまさら。ギャグ補正も込みでこその宇宙最強だよ!」


 ※ ※ ※


 回復した私、悪魔アハートヴァールと対峙する!


「さぁ覚悟しなさい! 百合ある限り、私は不滅よ!」


「「きゃー素敵♪ がんばれマジカル☆リリィ!」」


 背中には早百合と、ついでにステファニーの声援!

 気合入る!


「ふん、なるほどな。確かに、あれだけ血を流しても甦るとは! 大した不死身ぶりよ!」


 なんだか、ゾンビみたいな言われようね。


「だが忘れたか? 我が魔軍もまた不死身! そして貴様はこちらを攻撃できない! 貴様に勝機無き事に、依然変わりなし!!」


 くっ確かに! 千日手!!


「やってみなくちゃ! わからないわ!!」


 ジャキーン、と黄金魔剣を両手に構え、私は敵軍に飛び込む!!

 女の子たちを攻撃できないなら! 一気に敵の本体、悪魔アハートヴァールを倒すしかない!!


 蒼の魔軍の槍剣を必死にかわしながら! 敵将目がけて突撃ぃ!


 大軍勢に飛び込んで敵のボスだけを仕留める。

 関羽や呂布にできるなら! 宇宙最強の百合魔法少女にも、できないはずはない!!


「ふん、愚かなり小娘ぇッ! 貴様の魂胆などお見通しよ!!」


 くっ、やはり「爵位持ち」悪魔手強し! 

 水で出来た女の子達は、その特性を活かして。カラダの一部を水に戻して互いに結合。

 悪魔アハートヴァールを360度、いいえ上下左右全て、すっぽり包み込む障壁を形作る!


「だめ、攻撃できないッ!?」


 その結合部分も、私の脳は「女の子」の一部と認識。剣を振り下ろせず!!

 前進を止める私に、悪魔は!!


「終わりだ! 受けよ水の刃!!」


 莫大な量の水を呼び寄せ! 巨大な水の槍を放つ!!

 激流! 必殺威力のウォーターランス、海神ポセイドンの怒れる一撃がごとし!!


「う、くぅ……ッ!?」


 ジャンプ中だった私、空中で無理やり身体を捻り、間一髪直撃を回避!

 それでも、圧倒的な水流はその余波だけで、私の脇腹を抉り、押し流して!


 それでも止まらず放出され続ける水の槍、その槍先は!?

 川越水上公園のシンボル、スライダープールの支柱を穿ち貫いてしまう!?


 崩れる建物、プールサイドに落ちてくる瓦礫。


 その下には。ああ、その下には!?


「ミルちゃんッ!?」


 未だスク水姿で熟睡する、銀髪ロリロリ天使の姿が!?

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