第7話 トキメキ夏祭り! 今宵、一線越えます!?②

 悪魔たちの会議室。

 鏡に映るマジカル☆リリィの姿に、胸毛がセクシーなワイルドダンディー悪魔、ザフィーアヴォルフは大興奮である!


「うぉぉぉッ、見事な美脚、細い腰! ちょっとつり目なのもヤバい好みだ! 胸だけ残念だが、十分合格だぜ! 俺の子を産んでくれ! 100人は産んでくれぇぇーッ!?」


 な、なんたるスケベ!? その欲望への忠実さ、まさにヴォルフ!!


「愚か者がー!!」


 バシーン!

 バシーン!

 女王の制裁、薔薇の鞭が飛ぶ!


「キャイィィーン!?」


「この『腐界の女王』の前で! 女子に欲情するとは何事か! 我が臣下なら、エッチなコトは男同士でしなさい!?」


「そっちかよ!?」


 思わずツッコむ悪魔少年アル君ことアルダ=ギルズに、


「あら、欲望に忠実なこと自体はOKよ。むしろほめる! だって私達は悪魔、フリーダムが信条だもの!」


「だ、だよな! セーフだよな!?」


 女王の言葉に、悪魔ザフィーアヴォルフ、


「俺、悪魔だから! 狼だから! この燃えたぎる下半身、誰にも止められねえぜ! 交尾! 百合魔法少女と交尾してくる!」


 おお、なんたる!

 なんたる残念なイケメンか!


 子爵級悪魔ザフィーアヴォルフ、若干濃ゆいが文句無しにイケメン!

 しかし、その言動!

 下半身に脳が有るかのごとし!


 更に、鏡にチラッと映った早百合を見て!


「こ、この巨乳の子もヤベぇぇッ! セッ〇ス! セッ〇スしたい!!」


「な、なんて卑猥ひわいな野郎だ……」


 アル君、ドン引きしながらも一応聞く。


「で、勝算は有るのか?」


「よくぞ聞いてくれたな、アルの旦那!」


 グッと親指を立ててザフィーアヴォルフは、そのセクシーな胸元から手紙の束を取り出す!


 まさか!? これは!?

 そう、ラブレターである!!


「どうよ、このラブレターの山!! 俺は『悪魔のつばさ』社内アンケートで、抱かれたい男、1位だからな! 俺のワイルドな魅力で、百合魔法少女もとりこにしてやるぜ!!」


「……この社内、9割以上は男だけどな」


「どぅふ腐、ラブレターも全部男からなのよね。 ナイスホモ♪」


 しかしザフィーアヴォルフの満面おピンクな脳みそには関係無い!

 彼は本気でこのラブレター、美少女たちからと信じている!


 真実は残酷なり!!


「それに俺には、このセクシーな胸毛に加え、『魅了チャーム』の魔眼まで有る! この宇宙で、俺に落とせないオンナはいない! それっ!!」


 バチコーン☆


 なんと悪魔ザフィーアヴォルフ、主君に向かって、『腐界の女王』ミルダレーナに向かって、魅了のセクシーウインク!?


「お、おまっ!? なんて命知らずな!?」


 アル君が止めるヒマも無し!


 効くのか?

 効いてしまうのか!?


「…………」


「…………」


「…………」


 すると女王、顔文字のような、こんな(゜□゜)表情で!!


「いいからホモれよ!!」


 お、恐るべし、『腐界の女王』ミルダレーナ! その腐女子道、いささかもぶれること無し!!


「……おい。お前の能力、ホントに効くのか?」


「効くよ!? 効くさ!! この胸毛に賭けて誓うぜ!!」


「そんなモノに誓われてもなぁ……」


 アル君のため息は深くなるばかりだ。


「……なんか、今回もダメそうだな」


 ※ ※ ※


 そして。


 子爵級悪魔ザフィーアヴォルフは埼玉県狭山市へと出撃していった。

 西武線の黄色い電車に乗って、池袋線で所沢乗り換え。

 西武新宿線の狭山市駅まで、およそ1時間なのだ。


 しかもお目付け役を買って出たアル君も一緒である!!


「あ、あの二人! いつの間にデキていたの!? 愛し合っていたなんて、もう♪ 言ってくれれば祝福するのに! 社で盛大にパーティーするのに! ふ、ふふふ腐腐腐腐腐腐、鼻血♪」


 誤解だと言っても聞く耳持たず!


 山羊やぎの角に蝙蝠コウモリの翼、ふりふり尻尾が可愛い銀髪ゴスロリ美幼女悪魔、見た目は10歳『腐界の女王』ミルダレーナ。


 彼女にとって、男が二人いたら、そこは既にホモ空間なのだ!


「ふ、ふ腐♪ イケメン悪魔が二人、愛のホモ旅行! 見たい! 生で見たい!!」


 ヨダレを拭きながら、女王は。

 まだ鏡に映ったままのマジカル☆リリィを見て。


「……それに、この子もなかなか面白そう。ふふ、行ってみちゃおっかな♪」

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