第5話 最強美幼女悪魔「腐界の女王」

第5話 最強美幼女悪魔「腐界の女王」①

 恋に、沈む。

 キミに溺れる。


「きゃー! 禁断の世界!! 赤ずきんちゃん可愛い♪ 私も狼さんになっちゃう♪」


 お父さん、お母さん、ごめんなさい。

 りりなは百合娘ロードばく進中です(汗)。


「さ、早百合さゆりがこんな本貸すから。貸すからッ!?」


 夏休み直前、終業式前日の夜。私、宮野りりなは、早百合から借りた「ある本」に夢中で、ベッドの上で鼻血噴いて悶えてました。


「『百〇姫』9月号! さすが早百合、いいチョイスだね!」


 机の上からステファニーが声を掛ける。


 クマのぬいぐるみに見守られながら、百合コミック誌に萌え萌えしてる私は、女子中学生。


 ……何このカオス空間!!


(ふふ、たっぷり自家発電してね♪)


 とは、早百合の言葉。

 じ、自家発電って何? 知っちゃイケない言葉の気がするし!


「で、でも私! きゅんきゅんしてる!? もう、戻れなくていいかも♪」


「うんうん、素晴らしい成長だよ、りりな! やっぱり君の百合魔法少女の素質は、実にスペシャル! マーベラスだよ!!」


 だ、誰か助けて!

 私、この自称神様な悪魔の思うつぼ!


「ああっ、でも女の子可愛い♪ 女の子可愛いよー♪」


 ドサドサッ!!


「う、うちの妹が……」


 何冊もの本……ファッション誌を落とす音に気付けば。


「お、お姉ちゃん!?」


 開いたドアの向こう、大学生の我が姉、宮野るりか!!


「い、妹が、レズに目覚めてるぅー!?」


「ち、違うし!? これはもっとプラトニックな! 百合なんだからぁー!?」


 ……残念ながらこの違い、一般人には理解されませんでした。


 ※ ※ ※


「……はあ、まぁ、ノックせずに入った私も悪かったけどさ」


 緊急姉妹会議!

 ベッドの上で私は正座、涙目!


「いやー、エロ本見付ける以上のショックだわ……」


 私とお姉ちゃんの間には、百〇姫9月号。

 スクール水着の、私と同い年位の女の子二人がプールに沈んで、皆に内緒でキスする表紙。


 い、言い訳不可能!?

  私とお姉ちゃんの距離は50センチほど、だのに心理的には、グランド・キャニオンが横たわっている!?


「ど、どうかお母さんには内緒で! 平に! 平にーッ!?」


 うちのお母さん、いつもニコニコしているけど、根は真面目で古風。

 娘が同性にハァハァしてるなんて知ったら、卒倒するかも!

 てか小遣い減らされたり!?


 必死の土下座スタイル、私!!


 ちなみにステファニーは、無言でぬいぐるみのふり! いや、実際ぬいぐるみだけど!


「ま、まぁ、妹が同性愛に目覚めても、あたしが口出すことじゃないけどさ?」


 同性愛て! 生々しいよお姉ちゃん!

 もう少しソフトな表現プリーズ!?


「……あたしの半径2メートル以内には、入らないでね?」


「ひ、ひどいよお姉ちゃん!?」


 姉が、姉が遠ざかっていく!


「血を分けた姉妹だよ!? もっと大事にしようよ! 妹の悩みと向き合おうよ!?」


「こ、こら! 引っ付くな!?」


 あ、改めて見るとお姉ちゃん美人♪


 私と同じく、少し茶髪っぽい地毛。

 肩先位で切り揃えてる私に対し、お姉ちゃんはもっと伸ばしてポニーテールに。

 カラダ細めは一緒だけど、身長はわりと高め。


 そして! 胸がある!! 早百合には負けるけど、ばっちり平均以上の胸が!!


 これって、私にも希望があるってことだよね! ね!? お願い、そうだと言って!?


 と、とにかくお姉ちゃんは、モデル体型な美人さんなんです!!


「し、姉妹百合も有りだよね!? お姉ちゃんとキスしたい♪」


「ぎゃー!? 目を覚ませ、りりなー!?」


 ※ ※ ※


 一方、その頃!

 アリのような人類の営みを、遥か上空から見下ろす悪魔の牙城!!


 浮遊城? 別次元?

 否、どちらも違う!


 ここは池袋乙女ロードを見下ろす、サンシャイン60の一室!


 BLゲームの開発、販売を行う有限会社「悪魔のつばさ」社の社長室である!!


 そして!

 圧倒的悪のカリスマを備えた女悪魔!


 銀髪にゴスロリドレス、山羊の角に蝙蝠こうもりの翼! ふりふり可愛い悪魔のしっぽ! 見た目は10歳未満ッ!!


 ロリなのに妖艶!

 ロリなのに妖艶!


 おお、この悪魔、美幼女悪魔こそは!?


「ホモこそ全てー!!!」


 じ、邪悪! 何たる冒涜的な邪悪存在!?


 地球を脅かす巨悪! 公爵級悪魔!!

 その名も「腐界の女王」ミルダレーナは!!


 恐るべき第一声を放ったのだった!!

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