第3話 ああ無情。百合魔法少女、哀しき宿命!
第3話 ああ無情。百合魔法少女、哀しき宿命!①
〈前回のあらすじ!〉
女子中学生、宮野りりな。
彼女は、至高の愛、百合に目覚めた。
聖なる愛の護り手、百合魔法少女として。
恐るべき悪魔の陰謀、「人類総BL化計画」と戦う日々が始まるッ!
(セリフ)
「百合魔法少女、はっじまるよー♪」
(オープニング曲)
♪百合んりりんりん百合りんりん♪
♪百合んりりんりん百合りんりん♪
……以下略ッ!
※ ※ ※
……ピピピピピ。
無機質な目覚まし時計の音。
「むにゃむにゃ。私を起こしたいなら、この百倍は鳴らしなさい……なんて」
私の寝起きの悪さ、なめてもらっちゃ困るわ。
時計ごときが私の安眠を妨げるなんて、100年早いんだから。
とか思っていたら!
「おはよう、おはようりりな! さあ朝だ! 早く起きて! 新しい百合ライフの始まりだよ! 女の子が君を待ってるよ!? チュウを! チュウをするんだ女の子同士でぶっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「や、やかましいわッ!?」
ああ、もう!
目覚まし時計100個分うるさいし!
「もう、目が覚めちゃったじゃない!」
「な、何で僕が怒られてるんだい!? せっかく起こしてあげたのに! 君って意外と理不尽!? 理不尽少女!?」
……寝覚めは最悪。朝からボリュームMAXの騒がしさに、耳がキンキンする。
「……やっぱり、夢じゃないし」
その騒ぐ物体、クマのぬいぐるみを見て、私は思い出す。
昨日の出来事が、信じられないけど現実だということを。
「さあ、青春は待ってくれないよ! 命短し百合せよ乙女。早く着替えて! ダッシュして! 今日も女の子達とちゅっちゅしよう♪ 百合キスそれは宇宙の原則銀河の使命とにかくなんでもいいから百合キスを見せろぉぉぉ!!!!」
この異常な物体、彼の名前はステファニー。
クマのぬいぐるみにしか見えないけど、親友
そして、私……女子中学生、宮野りりな14歳は。
昨日、彼と契約して。
……百合魔法少女に、なっちゃいました。
※ ※ ※
「遅刻、遅刻ー!?」
お約束でごめん!?
ステファニーと格闘してたら、こんな時間に!
「だから言ったじゃないか、りりな! 君が大人しく最初から、このニーハイを受け入れてれば済んだのに! 絶対領域がまぶしいニーハイソックスをさ!」
「だ、だって、これ! 子供っぽいし!」
そう、私は、ステファニーの白ニーハイへの異様な
……まぁ、仕方なく穿 《は》いてあげたけど。
「純白のニーハイ! ミニスカート! この絶対領域は、魔法少女のたしなみだよ! まったく、りりなはまだまだ自覚が足りないよ! 絶対領域パンチラは、君の大事な使命なんだからね!」
「そんな使命、いらないわよ!?」
ぎゃあぎゃあ騒ぎながら坂道をダッシュ!
と、そこへ、
「よう、宮野。朝から元気だな」
「うっさい。あなたこそ、無駄に爽やかね!」
ああ、紹介しとくね。彼は、隣の家に住んでて、小学校から同じクラスの……、
「ファ〇キン! キルユーイケメン!!」
ステファニーの殺人キックが!
彼を亡き者に!?
「な、何してるの!? 何してるのあなた!?」
「ファ〇キンだよ! 実にファ〇キンだよ! 魔法少女に! 男の幼なじみなんて必要ない! フラグを立てようなんて、僕は断じて認めんぞ! 僕は、女の子同士の行き過ぎた友情が! 清らかで甘い百合が見たいんだぁぁぁーッ!!」
プリ○ュアは女の子同士以外の恋愛禁止!
ステファニーは、私には分からない魂の叫びを血涙(血、流れてるの!?)と共に絶叫するのだった。
「さあ、りりな! 男の幼なじみは存在を抹消したよ! 坂道を昇ろう! あの先に、君のたった一人の幼なじみが!
最後に、幼なじみ(♂)から一言。
「え!? 俺の出番、これで終わり? 永久に!?」
……終わりみたいだよ。
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