第10話 お前は殺す 絶対にだ!!
リリアに突き刺した剣の光が失われていくのと同時に瞳の光が失われていく。
「済まない」
一番やりやすい対象法がこれしか見つからなかった。否、これしか知らなかった。
「ダイ……丈夫だから…」
「そんなわけあるかっ!」
遅かったかそれとも攻撃力を上げすぎたか彼女に残された時間が少ない。高速でその術式を構築する。
偽善だと分かっているし致命傷を背負わせた自分がやっている理由も分からないが彼女を救うためには完全に無茶をするであろう。
「ナ、二、ヲ?」
「お前を救う手立てを」
リリアの情報は剣と杖を打ち合った際に入手しているしミミアの情報と似ている部分があるから構築そのものはとても楽だ。
単純な話だ。俺は一度能力不足でミミアを見殺しにせざるを得ない状況で彼女を失った。だからこそ例え電脳世界の偽物であるけれども彼女と同じ容姿をしたリリアを救いたいと強く願うのであろう。失いたくない、何もかも護りたい。たださっきまでの彼女では駄目だ。その処理に追われる俺の脳はかなり痛い。成功するかは不明だが少なくとも今の俺ではたったの一つしかない。
100回中99回がハズレであろうと残り1回を確実に引くというのが俺だろう。そのための終焉の救済剣。
「ちっ!!遅い」
「………」
リリアが口を閉ざした。不味いな。まだ7割というのに。
「生きてくれ。頼む」
「うっ……う」
顔が青い。血の気も失われていく。最初の段階で既に回復魔法は意味を成していなかった。救うためには止めは剣である必要があった。守るために殺すという矛盾した行動だからこそ枷を破壊出来る。
仮名 肉体霊魂再構築術式 RIVAIVU LIFE 発動
まずは純粋な
リリアの肉体が光の粒子となりて消えいく。まだ間に合う。いや間に合わせる。多重思考や加速思考も最大限に使用する。スキルがなくとも異世界転移する前に身につけていた人力を惜しみなく使う。
そしてリリアの肉体が消えるのと同時に2つの反応が現れた。
片方は終焉の救済剣で魂を切り離し RIVAIVU LIFEで復活を遂げた修道女の服装をしたリリア。
そしてもう一方は彼女に化けていた魔物 ドッペルゲンガー
「やっぱりか。夢魔族系とは思っていたがハニトラ専用の部隊のドッペルゲンガーか」
つまりはミミアに似たリリアという少女は俺の理想に近いというわけだ。まあ当たり前だな。死んだ時のあの虚無感を感じたのはひとえに彼女をそのレベルで愛していたわけだし。
いやミミア以外の子もちゃんと愛していますよ。念のために。
リリアはまだ魂を切断した影響か気絶している。安全策でもこのレベルに影響があるのかよ。
「一言だけ言っておく開発者。命ある者への冒涜や人にとっての神聖な記憶を土足で踏み躙るような行為は許されるものではない」
殺気や闘気に魔力を放出する。押さえつけていた力を解放する。
「お前は許さない 絶対にだ!!」
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