第4話(葬式)
ーーゼノは凜の葬式に出席した。凜の遺影の前で手を合わせる。すると、凜の母親のゆかりが詰め寄ってきた。
「よくも! 凜を返して! ねえ返して!」
「ゆかりさん、俺は犯人じゃない。解ってくれ」
「人殺し! 私は、お前を絶対に許さない!」
「ゆかりさんも案外ナードだな。警察に何を吹き込まれた?」
「ふざけないで! 警察は正義の味方よ!?」
「でも警察は初動捜査を完全に見誤った。解ってくれ」
ゆかりは、その場で泣き崩れた。今度は淳史が来た。
「ゼノ…………悪かったな」
「アッツ。お前も俺を疑ってるんだろ? 覚悟はしていたが、来るんじゃなかった」
「違う」
「何が違う? 相棒だと思ってたのに」
「今でも相棒だ。警察は信用できない。俺達で真犯人に捕まえようぜ」
「ほう、弔い合戦か。犯人の目星でも着いているのか?」
「セーブザウォーを少しプレーしてみたんだけどさ。〝リンキル〟っていうハンネの日本人プレーヤーがいた。怪しいだろ?」
ゼノは考える。ハンドルネームだけで犯人と決め付けても収穫はないだろう。それより、組織の別動隊に任せた方が良い。いくら相棒の淳史にも組織の事は言えないが。それを溶かすためにも、ゼノは善良な市民を装わなければならない。
「分かった。セーブザウォーをやってやろうじゃん」
「そうこなくっちゃ。家まで来てくれ」
ーー警察は凜とりんご狩り園の殺人事件に慌てて、両方の初動捜査を完全に失敗した。上層部は、真犯人は誰でもいいから起訴を急いだ。その結果、〝渦辺木(ウズベキ)〟という男を逮捕した。もちろん、真犯人ではない。ゼノと淳史の同級生だった男だ。
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