SS⑧:看板娘2人は、おひとり様にサービスされたい
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※『お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。』4巻を購入された方は、こっちのSSは後回しにしたほうが楽しめるかも?
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文化祭当日。俺らクラスの出し物、メイド喫茶に見慣れた客たちがご来店。
馴染みの喫茶店の2大看板娘、恋野さんと白星である。
「メイド喫茶なんだから俺に給仕させんじゃねえ」という気持ちを胸に秘めつつ、2人が注文したスフレケーキのセットをテーブルへと並べていく。
今の俺たちは知り合い同士ではなく店員と客の関係。他客を
決して面倒だとか、絡んでほしくないとかは思ってない。
ケッシテ。
「ごゆっくり」
「待ってください!」
「あん?」
フェードアウトしようとする俺の腕を、白星がガッツリ掴んでくる。
ウチの店、お触り禁止なんですけど。
「何だよ」
「美味しくなる呪文がまだですっ」
メニュー表の一部分を「コレです、コレコレ!」と指差すので確認してみる。そこには、『飲み物を注文したご主人様&お嬢様には、メイドから美味しくなる呪文をプレゼント☆』とのメッセージが書かれているではないか。
成程成程。
「白星よ」
「はいっ」
「お前はメイド服を着ている変態に俺が見えるのか?」
「私的にはサービスを受けたいので、着ているように見えますっ」
今すぐ眼科行ってこい。
「俺、変態にされてます」と恋野さんにSOSを送ってみる。しかし、恋野さんとしても俺を変態に仕立て上げたいようで、
「せっかくのお祭り事だし、私たちのために一肌脱いでほしいな?」
「恋野さんにも呪文を唱えないとダメなんですね……」
「飲み物ふーふーのサービスでもいいよー♪」
貴方が頼んだのはアイスティーでしょうに。
文化祭はまだまだ長い。故に、この2人だけに大量のカロリーを消費するのは御免被る。
ダチョウの倶楽部的な、「絶対押すなよ?」とか、「誰がやる? じゃあ俺が」なんかのくだりは割愛の方向で。
となれば、残された道は1つ。白星のホットココアが入ったコップを回収。
「ラリホー」とか「メラゾーマ」を唱えたい衝動をグッと堪えつつ、
「オイシクナーレ」
塩対応ここにありけり。
普通の客ならば、クレームもしくは拳が出る可能性大。
しかし、相手は白星。
「わぁぁぁ~~~……!」
「100万ドルの夜景でも見ているんですか?」と聞きたくなるレベル。俺から受け取ったコップをうっとり眺め続けているではないか。
そして、まだまだ湯気の立ち上がるココアをこくりと一口。
飲み込んだ刹那、白星の表情がへにゃり。全身からはハートマークが大量に溢れている印象すら与える。
「今まで飲んだココアで1番美味しいです……。いいえ、どの飲み物よりも……♪」
「業務用スーパーで買ったニーキュッパの粉末ココアだけどな」
「愛があれば、どんな飲み物も美味しくなるんですねっ!」
白星。そこに愛はあるんか?
おかわりを要求されたら、醤油でチャレンジさせてやろう。
恋野さんとしては、味の良し悪しより、不愛想な俺が呪文を掛けたことが嬉しいらしい。「よくできました~♪」と、パチパチ俺に拍手まで送ってくる始末。
わしゃ、何歳児やねん。
欲望は留まることを知らず。2人はメニュー表に書いた様々なサービスをメイド(男)にやらせるべく、あーだこーだと大盛り上がり。
「ねぇねぇ有栖ちゃん。メイドさんと記念撮影できるみたいだし、あとで3人一緒に撮ってもらおっか♪」
「大賛成ですっ! 3人一緒のと、華梨さんたちと一緒のも是非っ。あ、あと!
春一さんと私の2ショットも是非是非! あとあと! 春一さんオンリーの写真も是非是非是非!」
「お気に入りのメイドさんと一緒に歌えるってサービスもあるから、これもしちゃお~♪」
「あぁ……、春一さんの生声をまた聴けるなんて夢のようです……♪ はっ! 撮影は禁止とのことですが、録音はどうなんでしょうか? 目覚ましに使わせていただければと!」
わしゃ、アイドルか。
「よろしくね春一君♪」「よろしくお願いします春一さんっ!」
「……」
このあと滅茶苦茶カロリー消費した。
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【お知らせ】
4巻発売記念として、12/20(金)・12/21(土)・12/22(日)は毎日20時頃更新!
また、新作ラブコメの投稿も開始しました。
商業を意識せず、伸び伸び書いていくつもりなので、一度目を通していただければ幸いです( ◔ ౪◔)
「仔犬系の後輩ちゃん、ただただ健気で可愛いよね」っていう話。
おひとり様と新作ラブコメのコラボSSも公開中ですので、そちらも是非是非!
新作はコチラから↓↓↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893179985
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