第2話

とても美しい音楽が流れている気がするが。それは表現ができないまま、そこに立っていた。まるで川の流れのように視覚的に流れている音。

同時にわたしは気付いたのだった。

細部にわたるほどの音の色を、繊細なまでにも緻密に計算された魂の設計図を。


ある日に巨人がきて言いました。

「あなたの頬を一発殴らせよ」

わたしはうんと答えます。


巨人は百年も生きていたので、殴り殺したところで、なんの得もないどころか、社会的地位に関する目から、こうむる多大な損失をみてすごすごと帰っていた。

振り上げたこぶしを下すのは大したものだが。


老人はこうも思っていた。

「もしもこの場で、呆気もなく死なせてくれたのであれば、わたしの心も少しは救われただろうに」


死ぬものよりも残されたものの方が辛く悲しむ。

川はまるで音楽を流す円盤のレコード。

針がなければ音は鳴らないが、あたかも時が止まっているような微細な現象を繰り返して回っている。


それはまるで車のタイヤみたいにね。たまにホイールが、ゆっくりと逆回転をしているように見えるもの。

あなたは小川の更に小さな小魚のように暮らせたらいいと願うでしょう。


なんにも複雑な感情やらが噛んでないところ。歯車に鉄の杭などが刺さらぬところ。

もしも夢や理想があるならいいと思う。


君は人慣れをした人間で、わたしは変な人間だ。あなたは柔軟な人間で、わたしは窮屈な人間だ。


この土地には昔から宇宙同様繰り返す習慣があり、それにヒトも習っている。繰り返して育っているが、ときには柔軟で窮屈な変な人間が育つときがある。


私たちはその子らを星の子供とよび眺めている。決して手を出したりはしないが、自然と周囲からまとまり絆がうまれてくる。



川は普遍なるもので、一枚のレコードとよく似ている。再生されてないような微々たる表面だが、そのレコードを橋の上から眺めている私が流されている。

私たちの魂はどんな音になるのでしょうね。


是非聞いてみたい、夢のような微細な音を、


私は死を恐れすぎるあまりに。

死を恐れるものは、死が怖いわけでない。


知的であるものが何であるかを知らない。

理由もなく生を持たされて、性と時をムネニ宿される。

それで死がなにかを考えない人はいない。


私はただ恐れるもの。怖い、怖いから頑張ってみる。飴を貰えるから唯頑張る。

それだけである。






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