遠雷のロイド~金属人形の英雄譚~

金物 光照

第1話 妖精と金属人形

 それは概ねおおむ、おとぎ話みたいな史実である。百年程前にどこからともなく魔王が現れた。魔王の出現に呼応する様に魔物が大量発生し、各国への侵略が行われたのだ。これに対抗すべく諸王が立ち上がった。王達はそれぞれの騎士団と人形ゴーレム送り込み、圧倒的な数で迫る魔物を相手に戦いを挑んだ。長く苦しい戦いの末、魔王を討ち倒し平和を勝ち取った……という、よくある話だ。しかし、魔王と呼ばれたが何者で、何故侵略をしたのか。今となっては、知る者は居ない。

……そう、おとぎ話みたいな話である。


◆◆◆ ◆◆◆


「ああ! もう! 聞いていたより! 数が! 多い!!」


 語気を荒げながら、少女はクロスボウで矢を放つ。放った矢は緑色をした醜悪な魔物、ゴブリンの肩に見事命中した。ゴブリンは痛みに奇声を上げながら手に持っていた粗大ごみの様な混紡を取り落とす。直後、脇から別の人影が躍り出ると、その拳がゴブリンの頭部を。凄まじい膂力りょりょくから繰り出されたのだろう。

血煙を上げ、ゴブリンはその場に倒れた。拳を放ったは、小さく手を振って血糊を吹き払う。

 その人影は、青空を思い起こさせる鎧の小さな体に、まん丸の黒い金魚鉢が乗った不思議な姿。その額から二本の雷光が布飾りの様にたなびいていた。


「シルビア、こちらは片付いたけど、今の奇声で気づかれたみたいだ……。足音が近づいてくるよ」


 少女に向かって青い鎧の人形ゴーレムが注意をうながす。金魚鉢の様な頭には大きな目と口が淡く輝き、人の顔をデフォルメしたぬいぐるみの様にも見えた。彼はいわゆる人形ゴーレムと呼ばれる物であり、この世界ではありふれた戦士であり、労働力である。


「うへぇ! ロイドぉ、これは一旦退却して情報持ち帰った方がいいんじゃない?」


 シルビアは周囲への警戒を解かずに矢筒を手早く矢の残数を数えながら、撤退を提案する。青碧色せいへきいろの作業着の様な服のポケットから滋養薬マナポーションの小瓶を取り出し素早くあおる。空になった瓶を元のポケットに戻し、乱れた銀髪をかき上げ尖った耳にかけ、射撃姿勢を取りなおす。

その直後、ゴブリンが視界に収まる。一、二、三……大体七体前後が殺到し、そのどれもが粗雑な作りの武器を振り上げていた。


「ゴブリンは逃げられたら厄介だすぐ増える! ここで一気に決めるよ!」


 ロイドがそう吠えると、冠の丸い三つの宝玉が輝き出す。その左右の宝玉二本から伸びる雷光の帯も気合に呼応する様に明滅を始め、パチパチと空気を割る音を響かせながら激しく踊る様にうねった。


「え?! ちょ、ちょっと待って! それは……!」


 シルビアの静止も虚しく、ロイドの右腕、その外側にはめ込まれた宝玉に雷がほとばしる。雷は太い杭の様な形に集まると、ロイドの宝玉に薄っすらと精緻な魔法陣が輝き、激しい稲妻の様な炸裂音が響く。引き絞った弓矢の様にギュウっと縮まった直後、正拳突きの要領で雷の杭が解き放たれる。


「スパークバンカー!!」


 激しい炸裂音と共に、狭い洞窟に並んで突撃してきたゴブリン達はスパークバンカーに貫かれる。尋常ではない魔力マナと電光の奔流ほんりゅうが焼き尽くす。

直後、凄まじい轟音と共に、なんの補強もされてない天然の洞窟はスパークバンカーの破壊力に耐えきれず崩落を始める。


「「あ゛」」


◆◆◆ ◆◆◆


 街が夕日に染まる頃、仕事を終えた人々で街全体がごった返していた。

街を囲む防壁には門番の鉄人形アイアンゴーレムが睨みを利かせ、街や街道を魔物から守っている。

城壁の内側を馬の様な木製人形ウッドゴーレムが大量の客車を引き、街を周回しながら人々を送り届ける。魔王が討伐されてから、人形ゴーレムによって魔物の撃退以外にも、輸送などの分野においても人形ゴーレムは人々の生活を支えるものとなっていた。

 そんな街の繁華街の近くに、その店はあった。他の酒場や食事処と比較すると質素で飾り気の無い実にお役所的な作りの門構え。看板には『冒険者ギルド・ウラル支部』と大きく書き込まれている。その木製のドアを軋ませながら二つの人影がホールにフラフラと入り込む。おぼつかない足取りから、疲労の度合いが見て取れる。

この手の手合は、遠路はるばるやってきた冒険者か依頼者、仕事上がりの冒険者のどちらかである。ホール内の視線が一斉に扉に集まった直後、見知った人物同業者である事を確認してそれぞれのテーブルへと戻っていく。

どうやら後者の様である。


「あら、お帰りなさいロイドさん、シルビアさん。お仕事の方はいかがでしたか?」


 入り口正面の受付カウンターに座っていた女性が手元の書類をトントンと纏めながら朗らかに出迎える。引き出しから新たな書類と羽ペンを取り出すと、ギルドの受付カウンターに静かに広げて二人の到着に備えた。


「目標の方は概ね片付いたと思われます。ただ……」


 ロイドは言葉を濁す。


「いやー、散々でした! ゴブリンが報告の倍居たり、巣穴が崩落して! 危うく生き埋めになる所でしたよ!」


 ハッハッハ! と能天気な大声でシルビアが割り込んで答えた。見れば小柄な女性で年の頃は十かそこらの成人前の少女然としたおもむきであったが、長命種特有の尖り気味の耳が実際の年齢と乖離かいりしている事を伺わせる。シルビアは土埃で汚れた自身の銀色のセミロングの髪や、青碧色せいへきいろの作業着の様な服を叩いて見せた。広がる土埃に眉を潜めたロイドは、小声でやめなさいと声をかけつつ素早くシルビアの手を抑える。

 そんなやりとりを横目に一連の報告内容を受付嬢は素早く書類に書き込んでいく。冒険者の仕事の締めは、報告書の提出によって終わる。識字率は冒険者によってマチマチな上、冒険後の疲労困憊な状態では書き上げるのに時間を要する。そのくせ時間的猶予のない事態になっている場合も往々にしてあり、受付嬢が書記の仕事をする形に落ち着いたのが定着しているのだ。


「確認用の部位は回収できていますか?巣穴の出口は全て埋まっているのを確認しましたか?」


「入り口付近で二十体、巣穴内部で五から十体程確認しましたが、巣穴の奥の方では殆ど回収できませんでした。巣穴が完全に埋まったかは確証は得られてませんが、周囲四キロメートルには出入り口は無いのを確認しました」


 ロイドは淀みなく補足説明を行いつつ、カウンター脇の目隠しのされた部位回収の窓口に革袋を押し込む。対応する職員がその袋を受け付け、種類や数を検分するのだ。


「うーん、最初の報告より大分数が多いですね……。早めに戦闘用の人形ゴーレムを投入するのと、事後検分する方向で報告しておきます」


 サラサラと書き終えると、受付嬢は報告書をロイド達にくるりと向けて内容が問題ないか確認する様に促す。ロイドは報告書を手にとって黙読する。シルビアもその様子を横から覗き込む様にして読み込む。二人は問題無い事を確認しうなずき合うと、書類を受付嬢に手渡す。程なくして検分が終了し、二十三体分のゴブリンの討伐の認定書が小鳥型の人形ゴーレムによってカウンターに運ばれる。これを受け取った受付嬢は素早く認定書と報告書を針と糸で縫い合わせる様に綴り、ロイドとシルビアに認印サインを求めた。

 ロイドとシルビアが各々名前を書き込んだのを確認した受付嬢は、書類を配達用の筒に収め小鳥型人形ゴーレムに固定すると、小鳥はあっという間に飛び去っていった。


「はい、それでは今回の報酬の二千四百六十Gゴールドになります。討伐分と追跡調査分、報酬に上乗せしておきました。ですが、事前情報より数が多かったり、様子がおかしいと思ったら、撤退して情報を持ち帰る事を優先してください。なるべく無理はしないでくださいね」


 小言を付け加えつつ、金庫を管理するお手伝い人形ゴーレムから受け取った報酬をロイド達に手渡す。こうして、冒険者の仕事は終るのだ。


「了解でーす!」


「……善処シマス……」


 ロイドとシルビアはそれぞれ分かっているのかあやふやな返事をしながら、受け取った報酬の額に間違いが無い事を確認して仕舞い込むのだった。


◆◆◆ ◆◆◆


「やー、夜風が気持ちいいねー!」


 シルビアが伸びをしながら気の抜けた声を上げる。ギルドホールから出ると、完全に日は沈みすっかり夜になっていた。街頭には魔力灯マナランプの明かりが灯り、暗がりを照らしていた。完全に日か沈んでもまだ街に活気が満ちている。近々ある魔王討伐から百周年を記念した祭りが近々盛大に執り行われるからだ。その準備の為に魔力灯マナランプの灯りを頼りに、飾り付けや屋台の骨組みを準備しているという訳である。


「しかし天井が崩落するとはね……。次からはもう少し場所を選んだ方がいいかもしれないな」


 ロイドはそういうと、肩を落とした。

少なからず、失敗が堪えているようだ。


「ゴブリンの場合、逃げられたら厄介だすぐ増えるし、速攻決めたのは間違いじゃあないと思うケドね」


 洞窟の様な場所の場合、脱出口が掘られている場合も多く、そういった逃げ道や全体数が確定してから叩くのがセオリーだ。しかし、今回の様に少人数で完全に気づかれた状態だと、実行するのは困難である。半端に追い詰めると、一部の腰抜けが真っ先に逃げ出しまた増える……といった具合に非常に厄介な連中なのである。


「とりあえず今日は家に帰ろう。晩御飯と皆待ってる」


 ロイドはそういうと話題を切り替え、家へと向かった。程なくして住宅街の一角にたどり着くと、扉に小声で鍵を開けるパスワードを唱えた


「「ただいま」」


「「お帰りなさーい」」


 ロイドとシルビアを出迎えたのは体長二十~三十センチメートル程の妖精が十一人。薄く輝く一対から二対の羽で空中に留まりながら一斉に騒がしくロイドとシルビアに話しかける。


「はいはい! 話は食事の時にするから、まずは身支度をさせてほしい!」


「「はーい」」


「ありがとう、ロイド。そしたらパパッと脱いじゃうねー」


 そういうと、魔力マナで編んだ。すると、シルビアはみるみる小さくなり、他の妖精と同じサイズになった。先程までの姿は偽装であり、この姿が本当の姿なのである。が、魔力マナの体がほどけた途端、体に付着していた土埃をまともに浴びてしまう。


「わぷっ?! うう、やっちゃったぁ……」


「あっはっは! なーにやってるんだか! ほーら、汚れ落としクリーンクリーンっと……。よし、ご飯の準備出来てるから早くいっといで」


 キッチンから来た人間大の十二人目の妖精が笑いながらシルビアとロイドに呪文を唱えると、綺麗に土埃が落ちる。シルビアは頷くと、とてとてとダイニングへ向かった。ダイニングには大きなテーブルと四脚の椅子が並んでいる。テーブルの上には一人分の食事、そしてランチョンマットの上にミニチュアサイズのテーブルと食器が十三個ズラリと並んでいた。大きい席にロイドが座る横で妖精達が我先にと席に着く。ロイドが全員の着席を確認すると、静かに告げる。


「それでは……「いただきます!」」


 被せる様に妖精は食事の挨拶をすると、一斉に食べ始める。その騒がしい食事風景を見ながらロイドが食事を口の前に持ってくると、暗い金魚鉢に表示された平面の様な口がモグモグとアニメーションした。その途端、スプーンに乗っていたシチューが魔力マナの光になって消えた。ロイドは食事を魔力マナに変換して動いているのだ。そうして粗方料理が空になった頃、赤毛の妖精が思い出したかの様に声を上げた。


「で、仕事はどんな具合だったの?」


 テーブルの視線が一斉にロイドとシルビアに向けられる。それぞれの瞳は好奇心で輝き、話が始まるのを今か今かと待ちわびている。ロイドは小さくため息をつくと、静かに今日の出来事を語り始めた。


◆◆◆ ◆◆◆


「……という訳で、崩れる天井を殴り砕きながら間一髪で脱出して、生き残りのゴブリンが居ないか探して回ったんだ」


 今日の仕事を大体話し終わったタイミングでロイドは席を立ち、妖精達の食器を回収していく。いつの間にか淹れていたお茶も、今は既に空になっている。


「ふーん、それで土だらけだったんだねぇ」


 妖精の一人が納得したとばかりにウンウンとうなずく。妖精達は、オチの崩落が気に入ったのか、甲高い声で興奮した様に感想を語り合う。それがひと段落すると、一人の妖精がぽつりとつぶやいた。


「今日のはちょっと面白かったケド、惜しいなぁ……」


「遠くに冒険しに行ったらもっと面白い事になりそうだもん「ねー♪」」


 二人は語尾をハモらせながら、更なるロイド達が持ち帰るであろう土産話の刺激に思いを馳せている。ロイドは手慣れた手つきで小さな食器を丁寧に洗いながら話を聞いていたが、遠征を望む声が大きくなった様子を見て、ウンザリした様な表情を表示してすかさず答えた。


「バカをいわない……! 君達、一週間ここをあけただけで冒険話に飢えて家事をサボった挙げ句、暇をもて余してそのままの姿で街に繰り出して捕まりそうになったり、飯を食うのも忘れて死にかけていたのを私は忘れてないぞ……!」


 遠方の商人の護衛で約一週間離れた際の話を引き合いに出しつつ、遠出の可能性を否定する。その時を境に、ロイドとシルビアは、あまり遠出をしない近隣で済む仕事を選ぶ様になったのだ。


「ちぇー」


「まぁまぁ……。でもロイド、明日にはゴブリン片付いてそうだし、また新しい依頼探さないとだねぇ」


「そうだね、シルビア……」


 冒険者の仕事は多岐にわたる。護衛、魔物の討伐、遺跡の調査等だ。それらは冒険者の武勇と共に冒険譚として吟遊詩人によって歌われる格好のモチーフになっていたし、妖精達はそういった刺激を求めている。

 しかし、そんな華やかな冒険譚の影には、記録にも、記憶にも残らないもの仕事が確かに存在し、ロイド達のそれ仕事は正にそういった類いのものであった。ロイドは報酬の多くを妖精達の扶養に用いていた。希少種である妖精を狙う者は多い。結界を張ったこの家でも、いつまで匿い切れるかは分からない。ロイドはつつある現状に焦りと、うたに歌われる英雄譚への憧れで胸を焦がしていた。


◆◆◆ ◆◆◆


 翌日、ロイドとシルビアがギルドホールに向かうと、小柄でつり目の受付嬢がトコトコと近づいてきた。


「ロイドさん、シルビアさん、おはようございます。昨夜の件ですが、人形騎士団ゴーレムクルセイダーが追跡調査を行い、問題無い事が確認されました」


「了解しました。態々ありがとうございます」


 そうロイドは答えた。その表情にはが無かった事への安堵と、仕事を完遂出来なかった悔いがほんのり滲んでいた。 


「あ、そうそう、お二人向けかは分からないのですが、この様なお仕事が入っていますよ」


 はい、と言ってつり目の受付嬢は依頼書をロイドに手渡した。


【容疑者の捕縛】

容疑者名:ローズ・グレイス

容疑の内容:殺人、窃盗、詐欺、扇動、他余罪多数

身体特徴:女性、慎重は一.六メートル、種族は狐人きつねびと、体毛は赤毛と白毛、右目下に泣きぼくろ状の黒い斑点模様。人相の詳細は似顔絵を参照

難易度:F以上

報酬:前金一万Gゴールド、生死問わず成功報酬十一万Gゴールド

生きて捕縛に成功した場合、ボーナスとして五万Gゴールド

補足事項:冒険者ランクF以上、戦力規模不明、一人以上の協力者が居る可能性が大きい、対象は剣技と魔法の力に優れている為捕獲には十分注意されたし、本件は受領の如何いかんに関わらず他言無用


「「……報酬が高い」」


 似顔絵には典型的な狐人の美女といった上品な顔立ちをしており、右目の泣きぼくろ状の斑点がチャーミングであった。一見すると犯罪などとは縁遠いお嬢様の様である。しかし、罪状がやたら多い凶悪犯である事に加え、戦力も不明なので報酬は適正範囲ではある。とはいえ、報酬は破格である。上手く捕獲する事が出来れば、暫くは生活出来るだろう。少々怪しい依頼ではあるが、依頼主は諸王の認定印付きである為ほぼ公的な依頼といえた。

 新たな刺激に飢えた妖精達の為にも、懐の為にも、この依頼を受けてみた方が良いのではないかと、ロイドとシルビアは悩んだ。


「受領締め切りが後一時間なのでこの場で決めてください。それで、受けますか? 受けませんか?」


「「受けます! 受けますとも!!」」


「では、奥のシークレットルームへどうぞ」


 奥のシークレットルームは、機密性の高い仕事に使う防音、対魔法を施した特別性の部屋である。お忍びの貴族などが利用する場合もある為か、部屋のインテリアはギルドホールの中では一番格式高いものとなっている。

小柄な受付嬢がシークレットルームに通すと、身振りで着席を促す。

ふわふわとしたソファに落ち着かない様子でシルビアが座り、隣にロイドが小さく家具を軋ませながら着席した。


「ここでは依頼の補足説明と質疑応答に答えます」


 対面に座った受付嬢が静かに告げる。ロイドとシルビアはそれに同意する様に頷くと、受付嬢は説明を始める。


「容疑者のローズはこのウラルの街に潜伏しているとの情報が入っています。先程から検問を開始、まだ出たという情報はありません。現在騎士を主体に捜索をしておりますので、こちらの割符を見せて協力し、捕縛を試みてください」


 そう言うと、受付嬢は懐から布に包んだ物をロイドに差し出す。布から取り出すと、一片の小さな木の板が現れた。精緻な諸王連合の紋章が彫り込まれた木の板が、複雑に切り分けられ鍵の様な断面になっている。もう一方の板と合うかどうか、合った際に認証魔法が発動するかで認証するのだ。


「随時こちらのギルドにも情報が入ってきますので、確認が必要になりましたら当ギルド会館にお越しください。その際、その割符が必要になりますので、予めご注意ください」


「はーい! 騎士団が先に捕縛した場合、報酬はどうなりますか?」


「捕縛した騎士の小隊に事前に割符の照合を行っていた場合は協力して事に当たったものとみなし、満額が支払われます。それ以外の場合は基本的に支払れないので、ご注意ください」


 その他、細かい確認を行ったロイドとシルビアは、前金を受け取りギルドホールを後にした。その直後、遠雷が鳴響き遥か彼方に光が走った。風は唸りを上げ、空気が湿気を帯び重たく感じる。嵐が迫っている事を察したロイドとシルビアは、足早に雨具を取りに家へと急ぐ。

しかし、ロイドは今までにない胸騒ぎを覚えていた。

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