わたしが体験した不思議な話

碧美安紗奈

変な足跡(●)

 たぶん、最初に経験した不思議な出来事。

 わたしが幼稚園に通っていた頃の帰り道のこと。住んでいた故郷は豪雪地帯だったので、冬になると新雪がいたるところにあった。


 その田んぼや畑沿いの道路を歩いていると、猫や鳥らしき足跡が雪の上によく見つかったものだった。

 ところが、そこに紛れて妙な足跡を見つけたことがあるのだ。とある家にやしろがあったのだが、ちょうどその裏の畦道辺りを歩き回った形跡のある足跡。


(●)


 そのままこれ、(●)である。向きもこのまま。

 正確に描くなら中央の●はもっと小さく、・よりは大きい、ちょうど()に対して●と・の中間くらいの大きさだった。


 絵にするらな、下が進行方向とすると、

(●)

 (●)

(●)

 (●)

 という感じに新雪の上に残っていた。

 周りに人の足跡などはなく、新雪の上なので悪戯のしようもないはずだった。大きさ的には犬くらいのものの印象で曲がりくねってあちこち歩き、側溝を飛び越えたような形跡もあった。十数メートルは続いて物陰に消えていた。

 雪は積もると側溝を隠すようにその上にせりだすことがあり、気づかず上に乗ると体重の重みで雪ごと落ちることがあるので子供は注意されたものだ。なのに、その上に足跡があっても落ちていなかったことから、足跡の主は体重がかなり軽いと思われた。


 果たしてこんな足跡を残すものはいるのだろうか?

 これを記している2020年代初めまで、図鑑などでも探しているが正体は不明である。


 この足跡を残すものを知ってる人がいたら教えていただきたい。ちなみに、同年代の幼馴染み何人かもこれを一緒に目撃している。

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