-とあるお掃除スライム-
ぽいんぽいん。
ボクはスライム。
世間じゃお掃除スライムとか言われてる。
本当は別の名前だけど気にしてない。
ぽいんぽいん。
今日もご主人のお店をお掃除中。
ボクのご主人は商人をしている。
まだ若いからお嫁さんはいない。
このお店を一人で切り盛りしてるからよく仕入れで店を留守にする。
今日はそんな日。
ボクはお留守番。
ぽいんぽいん、あ、埃玉みっけ。
ん?裏口の扉が開いた。
「おーい、帰ったぞー」
あ!ご主人だ!
ぽいんぽいんぽいん。
ご主人ご主人、今日はどこ行ってたの?
「おーただいま。ふふふ、見ろ!ダンジョン前で色々仕入れてきたぞ!」
ボクを抱えあげて裏口まで連れてってくれる。
外にはパンパンになった袋がたくさん荷台に乗ってた。
「またゴミ処理頼むな」
まかせてご主人!
袋を店内に入れたご主人は袋の中身を選別してる。
そしてたまにボクに向かって中身を投げる。
きゃっちあんどめると!
これはコウモリの牙かな?
あちこち欠けてて虫歯みたいになってる。
ぽいんぽいん、ごちそうさま。
ご主人がボクにくれるものはお金にならないものって言ってた。
お金ってあの金ピカの丸いやつでしょ?
ボクあれ嫌い。
みんな形が一緒で楽しくないんだもん。
それより今溶かしてるゴミや埃の方が色んな形があって楽しい。
ぽいんぽいん。
実はボクはこの街の生まれじゃない。
この街の近くにある集落の生まれだ。
そこでボクはご主人に買われた。
「あの祭は本当に転機だったのかもな。お前とも出会えたし」
ボクもあのお祭りでご主人と出会えて幸せだよ。
「もう少し金が溜まったらまた行こうな。集落から村になったらしいし。その時はお前も一緒にな」
やった、おでかけ!
ボク知ってるよ、今度は商売で行くんじゃないってこと。
お嫁さんもらいに行くんでしょ。
ぽいんぽいん。
ボクはピースフルスライム。
ゴミと埃、あとご主人が大好きなスライムだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます