廻間–ハザマ–

たっち

第1話 始まり?終わり?もしくは出会い

 陰キャラ、陽キャラとはいったい何なのか。根暗なのが陰キャラ?明るく社交的なのが陽キャラ?そもそもそれはキャラなのか、そうなりたくて作っているのなら“キャラ”なのだろう。

 しかし、それが自分自身、何の偽りもない自分自身であるとしたらどうだろう。

 そんな言葉で片付けていいものか、偏見を持って接する接さずで良いのだろうか……。


 いつもと変わらない朝、いつもと変わらないいつもの朝がやって来た。

 僕の名前は 遠峰 亮太(とおみね りょうた) 高校二年生のいわゆる陰キャラだ。

 趣味は、アニメだったりラノベを読んだりと俗に言うヲタクと言う部類に入る。目が悪く眼鏡は欠かせない。


 「おはよう」


 そういつも通り親に朝の挨拶をし、いつも通り支度をし、学校へ向かう。

 僕のスクールライフは決して充実したものではない。自分のヲタクっぽい見た目や根暗な性格、絵に描いたような陰キャラだからだ。

 しかし、自分の望んでいる事ではない、本当は友達が欲しいし、遊びたい。充実したスクールライフを送りたい。


 ただ、自分からは“殻”は破れないのだ……。


 今日もいつも通り何もなくただ時間が過ぎていく学校での一日が終わった。

 何も変わらぬいつもの帰り道、最近はまっている転生系アニメの事を羨ましながら、ちょっとニヤついた表情で歩いていた。

 もうすぐ家に着く。この信号を渡ればあと五分だ。

 信号が青に変わり足を一歩二本、散歩と踏み出す。

 その時だった、急に目の前が真っ暗になった。意識が遠のいていくのがわかる。

僕がこの一日で発した言葉が「おはよう」の一言だけ。まだ「ただいま」が言えてないな。そうくだらない事を考えながら完全に僕は意識がなくなった。


 「っんー……。頭が痛いっ。」

 どのくらい意識がなかったのだろう。気付いたらベッドの上にいた。いつもの自分の部屋の……

 「ベッドじゃない!?」

 そこは、ベッドの上だが自分の部屋ではない。理解が追いつかない自分、気持ちの整理をする前に僕は咄嗟にこう言った。

 「もしかして異世界転生ってやつ?いやまて、知らない場所とはいったものの、明かに思い描いてるものではない。というか、ただの一軒家の一室だろっ!え?拉致?監禁?」

 普段静かな僕でも、さすがにこの状況に動揺を隠し切れるはずもなかった。

 とりあえずこの家の人を探して、状況を聞こう。

僕はベッドから降りて部屋の外へ出た。

 すると一階の広場から何やら騒がしい声が聞こえた。恐る恐る僕あその広場へ向かった。

 「これってどういうこと!?」

 「知らないわ……。気付いたら上の部屋に。」

 「わ、わからないです。」

 広場には三人の女性がいた。どうやら 話を聞くと自分と同じ、気付いたらこの家の一室で目を覚ましたらしい。

 「とりあえずこのままじゃ状況整理ができないから、この家の人が来るまで異世界転生したでおけ?」

 馬鹿だった。自分はこの状況で自分の趣味全開に出してしまう大馬鹿ものだった。みんな不安で家に帰りたがってるにもかかわらずに……。

 そんな赤面している自分に恐ろしい罵倒が返ってくる事を覚悟していると僕の予想を超える言葉が飛び出した。


「そうですね。そういうことだと思います。私も。」


 馬鹿だったしっかりこの子も馬鹿だった。その子は、黒髪ロングで美人。自分とは程遠いい世界の人だった。その子は続けてこう言った。


 「とりあえず自己紹介をしましょう。 私は 福田 智美 (ふくだ さとみ)19歳の大学生です。よろしくお願いします。じゃあ次は 貴方。」


 そういうと隣の小柄な金髪ツインテールの子を指名した。


 「あんた達がさっきから何言ってるのかわからいんだけども!まあいいわ。私は 元石 りあ (もといし りあ) よ。16歳。何がなんだかわからないけど協力しましょ。リーダーぶってるの気に食わないけど……。」


 「……。りあちゃんね!よろしくね。」


一瞬ムッとした表情を浮かべた気がしたが気のせいだったか、智美は優しく微笑んで続けた。


 「じゃあ次自己紹介お願いします!」


次に指さしたのは自己紹介していない僕じゃない方のもう1人の暗そうな眼鏡をかけた女の子だった。彼女は指名されて動揺していたがしばらくすると口を開いた。

 「あぁ、あ、はい……。わ、私の名前は 伊藤 ミキ (いとう みき)です。よ、よろしくお願いします……。」


 間違いない、伊藤みきさんは僕と同じ陰キャラだ。いや、同士だ。僕は勝手に親近感を湧いていた。我ながら気持ちが悪い。


 「ミキちゃんね。よろしく! じゃあ最後君!」


  遂に自分の番が回って来てしまった。今気づいたが、僕は人前で話す、ましてや数人の女の子の前で話すなんて生きてて初めての出来事だった。この状況で忘れていたが、ふと我に帰ってそう思いつつ、冷静を装った。


 「ぼ、僕は遠峰亮太といいます。よ、よろしくお願いします。さっきは変なこと言ってすみませんでした……。」


 僕は趣味全開な発言を悔やみ懺悔したい気持ちだった。

 するとミキが口を開いた。


 「い、いや、いいと思います……。そういうの……。」

 

 思いがけない言葉に僕はウッ○ィーなみに目をカッピラいてたと思う。やはりこのミキちゃんって女の子は同士だ。間違いなく同士だ。この時僕はこの後に起きる出来事に不安を抱えていたが0.2%の期待を抱いていたと思う。


 沈黙が続いた、皆これからどうするか、どうすればいいのか、此処はどこなのか、どのくらい沈黙が続いただろうか、その時だった。


「ガチャ……。」


玄関から誰かが入って来た。柔らかい足音だ、化け物ではない人間か、男より女の子に近い、もしかしてまた女の子か美女か?っと趣味全開の妄想をしているうちに姿を現したのは


 ただのおばあちゃんだった。優しそうな、どこか懐かしいような……。


僕は思った、直感した。何か鍵を握っている、いや、鍵ってなんや、現実やろここは。でも事情を聞ける。そう安堵した。安堵したが、 期待してい…いや思いがけない言葉がおばあさんから飛び出したのだった……。

 


  

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