好奇心
街の解体作業は進んでいく。屋根を潰し、壁は崩れ、跡形もなく沈んでいく。
騒音激しく、土埃もたち混むこの場所を、何故か遠くから一人の少年が見つめていた。
これは今日だけの話ではないのだ。至る所で行われる現場の光景を、毎日色んな所で見ているのだ。
なぜわざわざ居心地の悪いのに見ているのか、それは少年自身にすら分かっていなかった。
ただ惹かれたのだ、言い知れぬ好奇心を刺激していくのだ。少年は考えた。なぜこんなにも僕を引き寄せるのか、何を僕は期待しているのか。その時の考えは単純に、理由も論理も存在しない答えだった。
好きなんだ、屋根を潰し、壁は崩れ、跡形もなく沈んでいくこの光景が。その中でも、ビルの解体が最も魅了する。
ダイナマイトで根幹から一気に崩れ去る様は、この少年を激しく魅了していったのである。
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