ヴィダル・ジョーンズ

ニュー・シティ

 ~ある朝のニュース~



 新しい大統領に代わり、世の中はより良い方向へと向かっていくだろう。


 彼は公共事業に力を入れ、各地の古びた道路や建築物を新しく一掃している。この調子なら、一年後には綺麗な都市へと生まれ変わるはずだ。


 働き口も増え、生活に余裕が出てきている人もいれば、周りが綺麗になるならと、自分の家を建て替えている人もいる。


 今までとは違う、明らかに経済が回り初めているのではないか。



 ――だが全く問題がない訳でもない。



 改修工事が一斉に始まった事で道路が減り、日中の街は騒音で溢れてしまった。土埃も当然舞い上がる。


 それに苦言を呈する者もいるが、大方の市民は仕方のない物だと思っている。


 それほど今までは酷かった。それが変わるのならこんな騒音どうでもない、と。



 街は変わる、時代は進む。今日も街に響く重機の音は希望となり、市民の生活を支える柱を立てていくことになるだろう。

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