第6話 勇者、新種族を創りました。

『ハイブリッドって…( ̄□ ̄;||||』

「勿論、良いとこ取りでお願いします。」


にっこりと笑って告げる。


「はいぶりっど?」

「つまり、掛け合わせだよ。」

「新たな種族を作ると言うことか?」

「それに近…『なんて…』神様?」


驚愕といった風の神様にわざとらしく小首を傾げて見せる。


『…なんて無茶苦茶な……恐ろしい子っ!(; ゜Д゜)』

「なんとでも言って。」

『だが、それがイイ!d=(^o^)』

「お褒めに与り光栄です☆」


ぐっと親指を突き出せば、背後で小さくくぐもった声が僅かに聞こえた。

振り返ると、魔王が口に手を当てて震えていた。


「あれ、悪ふざけが過ぎた?」

「いや、くくっ…これが、神か…くっ…っ」


怒ってるのかと思ったら笑ってました。


『いやー、流石僕の選んだ勇者だ(σ≧▽≦)σ』

「じゃあ、精霊も大精霊にしても良い?」

『イイともー(*´∀`)b』

「わーい♪」


ツボに嵌まってしまったのか、後ろでまだ笑ってる魔王を放置して、数値の調整を始める。


「えっと、先ずは魔法適正と耐性は精霊が入るからOKでしょう?」

『その代わりに古代種の基本スペックが少し下がるね。』

「そこは、それほど問題にはならないかな。」

『君たちの基本スペックがバカ高いからねwww』

「それでもこれだけの基本補正はすごいよ。」


種族ステータスを見ながら言う。

純粋な身体能力は他の追随を許さない程に高い。どの位かと言うと…人間が1とすると、亜人種で最強と言われる竜族は50、魔族、特に高位の魔人なら80位…で古代種は150位だろうか?本当に規格外の強さなのだ。


「うーん…全部乗せにするとどっち付かずになっちゃうなぁ。」

『まぁ、キャラメイクの基本だね。』

「魔王、魔王?まーおーうーー!」


笑い過ぎて息も絶え絶えになっている魔王の腕をバシバシ叩いて呼ぶ。笑いの沸点低すぎでしょ、魔王。


「は、ぁ…なんだ…?」


薄らと目尻に涙を溜めた魔王の色気は半端無い!さっきまでお腹を抱えて笑っていたとしても、だ。


「………うん、あのね。魔王は近接戦闘よりも主に魔法を使う方だよね?」

「鍛えていない訳ではないが、どちらかと言えばな。」

「じゃあ、魔王の初期値は魔法系に振って…私は、使うのが精霊魔法だから近接に振ろうかな。」


ウィンドウを弄って初期値を調節する。


因みに…生き物には、須く初期値というものがある、らしい。これは遺伝や種族、性別等で数値が変化する。今回に限って言えば、竜族の古代種…もう古代竜でいいか。これと精霊といったものがこれに当る。他には、勇者や魔王といった一部の職業も含まれるが、こちらは後天的な補正という扱いになるそうだ。

ともかく、この初期値は神様等であればこうして弄ることができる。2年前も、今も私はこうして自身の初期値を調節させて貰った。そして、これとは別に潜在値と言うのが存在する。これは魂に刻まれた数値で、これを弄ることは神様でも相当大変らしい。神様がさっき言っていたバカ高い基本スペックとはこっちの事。


「精霊魔法…そういえば、勇者は精霊に溺愛されていたな。」

『それに関して、僕は手を加えてない筈なんだけどね…』

「なんか、私の魔力は美味しいらしいよ?」


召喚されて2週間した頃に拉致られた精霊の国で、精霊王にそう言われた。


「と、これでいいかな?」


調節し終わって、2人分のステータスを魔王に見せる。


「種族名が表示されてないが…?」

『新しい種族だからねぇ(; ̄ー ̄A』


自然発生ならば、世界の中で決まるものだが…今回は世界の外側で作ってしまったのでここで決めてしまうのがイイのかも?


「単純に精霊竜、かなぁ?」

『まあ、精霊お決まりの属性名も入るしね( ̄ワ ̄)b』


所謂、火の精霊とか水の精霊とか…そういうやつだ。


「安直だが、悪くない。」

「じゃあ、決定っ!」

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