Flying! Flying! blitz convenience my darling

沖田音吉

エピローグ

本来空を飛ぶなんてのは、彼女を作るためなんかじゃなく、彼女ができてからじゃないのか。


そもそもの原因の発端は、初夏のあの日のことだった。

とはいえ何もドラマに起きるような事件があったわけではない。

突飛な事件だって、その発端の多くは普通であるように。


僕は夏の日照りの下、境内から海が見えるとある小さな神社の前立っていた。


願い事だって、多くの人と何ら変わりなどない。

『恋愛成就』それのみだ。


強いて言うなら賽銭を奮発することくらいか。

奮発した賽銭、金額にしてなんと1000円。


その金額が一貧乏学生にとって、どれだけの大金であることか。

別換算でチロルチョコ100個、または三日分もの食費。


だからといってお金持ちが三日分の食費を払えばいいというわけではない。

エンゲル係数がほぼ100%の僕と、蚊ほどの割合であるどこかのボンボンとその価値にどれほどの差があるだろう。


・・・大した金額じゃないという人間にはこう言ってやりたい。

神様への願いなんてのはそう、金額じゃないんだよ。


まぁそんな風にして、僕は願いを、三日分の食費とともに神様に掛けて、そしてすべては動き出したんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る